「選ばれた者だけの舞台」にしない 大学スポーツに一石を投じる「関西・中部対抗戦」の試み
競泳元日本代表の竹村幸さんは2020年12月の現役引退後、元アスリートとしてさまざまな取り組みに携わり発信をしている。今回は4月に滋賀県で開催された、競泳の大学対抗戦について。一般的な大会とは異なるユニークな取り組みについて、「THE ANSWER」に寄稿した。

「関西・中部対抗水泳競技大会」を4月に滋賀県で初開催
競泳元日本代表の竹村幸さんは2020年12月の現役引退後、元アスリートとしてさまざまな取り組みに携わり発信をしている。今回は4月に滋賀県で開催された、競泳の大学対抗戦について。一般的な大会とは異なるユニークな取り組みについて、「THE ANSWER」に寄稿した。
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「応援されることって、こんなにも自分を強くしてくれるんだ」
そう感じた瞬間が、自分の学生スポーツには確かにあった。
普段は1人で戦うことが多い競泳だが、学生時代は違った。自分の中で一番楽しかった試合の記憶は、大学対抗戦であるインカレだ。大きな声援を背に、学校対抗のポイント制で競い合い、一喜一憂する――。チームのみんなと喜びを分かち合えたことは、引退した今でも鮮明に記憶に残っている。
しかし今、学生スポーツは競技人口の減少という現実に直面している。試合を開催しても人数が集まらず、決勝へのハードルが下がってしまう。その結果、試合全体の緊張感や高揚感も徐々に失われつつある。
そうした状況を打破しようと、新たな試みが始まった。
2025年4月20日と21日、「第1回 関西・中部対抗水泳競技大会」が滋賀県・インフロニア草津アクアティクスセンターで開催された。この大会は関西と中部支部による初の本格的な大会だ。これまでも両支部が参加する記録会は存在していたが、「得点制を導入し、明確な勝敗をつける」という意味での“対抗戦”としては、今回が初の開催となる。
そしてこの大会の最大の特徴は、「トップ選手だけで完結しない」という点にある。
「選ばれた者だけが立てる舞台」―― 他のスポーツの競技会も同様だと思うが、それが、これまでの学生水泳における『大会』の“常識”だった。
水泳大会ではどうしても、速い選手ほど多くの出場権を得られる仕組みになりがちだ。まず、下位層や中堅層の選手には出場のチャンスが少ない。また、地方においてはそもそも大会数が少なく、競技人口の減少によって切磋琢磨できる環境すら限られてしまう。
しかし、この大会は、そうした現状に向き合い、どのレベルの選手にも「チームで戦う」喜びと挑戦の機会を届けることを目指した。
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