工場停止のリストラ発表に「うわっ、マジか」 16年ぶり復活の日産野球部、衝撃2日後の試合で示した“存在理由”
経営再建中の日産自動車は、2009年に休部した野球部を今年から16年ぶりに復活させた。7月2日からは社会人野球の最高峰、都市対抗野球の予選に初めて臨み、17日には東芝と代表決定戦で激突。初回に1点を先制したものの、2-7で敗れ最初の夏が終わった。本来は15日に予定されていたこの試合。その日に、チームが本拠を置く追浜工場(神奈川県横須賀市)での車両生産を終了するというリストラ発表があった。大企業が野球部を持つ意味をいやでも考えさせられる状況下で、チームはいかにして戦い、何を示したのか。(取材・文=THE ANSWER編集部 羽鳥慶太)

代表決定戦があったはずの日に…選手たちがスマホで見た重大発表
経営再建中の日産自動車は、2009年に休部した野球部を今年から16年ぶりに復活させた。7月2日からは社会人野球の最高峰、都市対抗野球の予選に初めて臨み、17日には東芝と代表決定戦で激突。初回に1点を先制したものの、2-7で敗れ最初の夏が終わった。本来は15日に予定されていたこの試合。その日に、チームが本拠を置く追浜工場(神奈川県横須賀市)での車両生産を終了するというリストラ発表があった。大企業が野球部を持つ意味をいやでも考えさせられる状況下で、チームはいかにして戦い、何を示したのか。(取材・文=THE ANSWER編集部 羽鳥慶太)
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「うわっ、マジか」
石毛大地主将をはじめとした日産ナインは、思わずこうもらしたという。15日の午後、日産本社が行った会見の内容は衝撃的だった。重要拠点だった追浜工場での車両生産を2027年度限りで終了するというニュースを、選手たちはまずスマートフォンの画面で知った。その後屋内練習場に集められ、田川博之GMから現状が説明された。工場を除くテストコースなどの施設は存続する、野球部の活動もこのまま続けるというものだった。
その中で試合を迎えた心境を石毛は「目の前の野球に集中してほしいと言われましたし、野球を通じて従業員に勇気を与えるのが僕たちの使命なので」と振り返ったものの、練習場は追浜工場の敷地内にあり、工場が職場の選手もいる。ニュースを知った瞬間の驚きは、とてつもなく大きかった。
「少なからず動揺はありました。少し時間が必要だった感じはありましたね」
幸い、試合は雨天のため2日順延された。17日の第2代表決定戦で対戦する東芝は、8日に一度は敗れた相手だ。4点を追う5回に「4番・一塁」の石飛智洋が満塁弾を放って追いつく大熱戦。最後まで食い下がるしぶとさを見せたが、結果は6-9。一度もリードを奪えなかった。何をすれば勝てるのか。雨の2日間は、選手個々が考える時間ともなった。
迎えた17日の決戦当日、日産側スタンドは約3200人の社員、ファンで埋まった。選手が試合前のあいさつに出てくると「頼むぞ!」「頑張れ!」と悲鳴に近い声援が上がった。初回裏の攻撃、「1番・中堅」の宮川怜外野手は「自分が塁に出れば盛り上がる。練習試合の時もいつもそうなので」と頭に置いて左打席へ向かった。
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