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五輪の夢を裏方で叶えた女性アスリート 日本人に少ない「渡り鳥」としてミラノ冬季五輪に尽力――組織委員会・丸山尚子さん

ミラノ・コルティナ大会組織委員会で働く丸山氏【写真:荻島弘一】
ミラノ・コルティナ大会組織委員会で働く丸山氏【写真:荻島弘一】

両親ともにオリンピアン「カエルの子はカエらず、でしたね(笑)」

「渡り鳥」として五輪から五輪へ。その思いが強いのは、両親ともにオリンピアンという環境にもあった。父仁也さんと母美保子(旧姓大杖)さんは、ともに1968年グルノーブル五輪のアルペンスキー代表。幼少期から五輪は身近にあった。

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「カエルの子はカエらず、でしたね(笑)。本気で出場は狙っていたんですが、ダメでした。でも、今でもオリンピックへのこだわりは強いと思います。やっぱり特別な大会ですから」

 美保子さんは日本女子初のスキー五輪代表、叔父の大杖正彦さんは72年札幌五輪代表。仁也さんは引退後もスキー競技に関わり、長野五輪ではアルペンの競技委員長も務めた。そんなレジェンドたちの思いを、丸山氏は受け継ぐ。

「特に公表はしていないんですけど(笑)、ミラノに来てから長野オリンピックに参加したコーチたちに『お父さんにお世話になりました』と言われることはあります。オリンピックに携わる仕事をしていることは、両親も喜んでいてくれるんじゃないですかね」

 初の広域開催となるミラノ・コルティナ大会。フィギュアスケートなど主に「氷」の競技はミラノ、アルペンスキーなど「雪」競技はコルティナダンペッツォ、さらに他の会場でも競技が行われる。五輪開会式はサッカーで有名なミラノのサンシーロスタジアム、五輪閉会式とパラの開会式はヴェローナの円形競技場と広範囲にわたる。2都市が共同で組織委員会を作るのも、今大会が初となる。

「パラの競技はコルティナが中心なので、大会直前までミラノにいてコルティナに移動します。距離があって、地域も違うので、情報の出し方は難しいですね。(選手団が)欲しい時に欲しい情報が伝わるようにしたい。言いなりに情報を流すのではなく、このタイミングで出すというのをしっかりと伝えていきたい」

 IOCが五輪改革の1つとして打ち出した「広域開催」。これまでは1都市での開催が原則だったが、コスト削減で持続可能な大会にするために複数都市での開催容認に踏み切った。今後、冬夏を問わずに複数都市での広域開催が広がっていく可能性がある。

「今回はとてもユニークな大会になると思う。もしかしたら、これまでと少し違う形の大会になるかもしれないけれど、次(30年)のフランスアルプス大会も広域開催ですし、今大会がテストケース、モデルケースになると思う」

(後編に続く)

(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)

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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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