部活のスポンサーは地元のピザ屋や町中華 「お金は出すが口出さず」ジュニアスポーツの健全な商業化
支援額は年間15万~46万円程度
この話を補足すると、子どものスポーツや学校の運動部はファンドレイジング(財源調達)として、保護者を中心とする組織が資金集めを行うことが多いのだ。近くのお店や知り合いに寄付をお願いしたり、スポンサーになってもらうようにお願いしたりする。アメリカのいろいろなところで見られるファンドレイジングがここでも行われていることになる。
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スポンサーになることでお店側の利益になっているのだろうか。「高校が近いので、高校生たちは昼ご飯の時間にたくさん来ますし、週末は親とやってくることもありますし、年度末や活動期間の終わりにはお礼のカードや盾を贈ってくれたりします」。1年間にどのくらいの支援をしているのか。「1000ドル(約15万5390円)か3000ドル(約46万6320円)の間です」
このベーグルショップは商品を無償で提供し、いくばくかの金銭的支援もしている。寄付とスポンサーの中間のような支援をし、そのことで店の存在を認識してもらうことにつなげているし、支援した高校生や親子が店にやってくる。顔のみえる範囲でお金が循環しているともいえるだろう。
企業や商店が子どものスポーツや高校運動部を金銭的に支援し、その見返りとして企業名や商品名の露出や宣伝の機会を得るのは商業化といえる。企業が利益を最大化するために、子どものチームや学校の運動部に介入した場合には「商業主義に陥る」ことになる。それでも、スポンサーをつけて商業化することと、スポンサーが自らの利益のために介入して商業主義に陥ることは全く同じではない。
アメリカをみていると、お金も出すが口も出してくることを抑止しながら、スポンサーから支援を得ているケースもある。お金も出すが口も出すやっかいな保護者や、課金しないと子どもが不利になると不安を刺激する悪徳業者と比べると、ビジネスライクで節度あるスポンサーのほうが、子どものスポーツ活動に悪影響が少ない場合もあるといえるのではないか。
(谷口 輝世子 / Kiyoko Taniguchi)
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