一度はプロを諦めた24歳女子が“あしながおじさん”に救われた話 ゴルフ難関突破の裏に「続けなさい」の言葉
今季国内女子ゴルフツアー開幕まで残り2か月。各選手は調整を本格化させている。昨年11月、合格率3.74%の超難関プロテストを突破した26人も「やっとスタートラインに立てる」の思いで試合を心待ちにしている。6度目受験で合格の青木香奈子はスポンサー契約が続々と決定。だが、ここまでの道は険しく、クラブを置いた時期もあった。そのストーリーを本人に聞いた。(取材・文=柳田 通斉)
青木香奈子は合格率3.74%のプロテストに6度目で合格
今季国内女子ゴルフツアー開幕まで残り2か月。各選手は調整を本格化させている。昨年11月、合格率3.74%の超難関プロテストを突破した26人も「やっとスタートラインに立てる」の思いで試合を心待ちにしている。6度目受験で合格の青木香奈子はスポンサー契約が続々と決定。だが、ここまでの道は険しく、クラブを置いた時期もあった。そのストーリーを本人に聞いた。(取材・文=柳田 通斉)
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東京のベイエリア。青木は私服姿で取材場所に現れた。「東京に住んで約1年です。今、宮崎から転居した時からは想像もつかない状況になっています」。そう振り返る24歳は、22歳の時にいったんゴルフから離れていた。
「高校を出て大学卒業の年齢になるまでに『プロテストに合格する』と決めていたからです。本当に『もう、終わったこと。やっぱり、大学に行くべきだった』と後悔もしていました」
青木は10歳の時、祖父からの勧めでゴルフを始めた。
「バレーボールにも熱心で、部活を終えて週2回ペースでレッスンを受ける感じでした。勉強も好きで頑張っていました」
高校に入ると、ゴルフ1本に絞った。中3からは宮崎県の大会で優勝、九州大会でも上位に入ったが、全国大会では予選落ち続き。同学年で優勝争いをしていた古江彩佳、安田祐香、西村優菜、吉田優利らは「雲の上の存在」だった。それでも、高3で大学進学ではなく「プロになる」と決断。地元のフェニックスCCでキャディーをしながら、研修生として練習を重ねる日々を送った。
「宮崎は温暖ですし、練習環境は最高でした。2019年に受けた1回目のプロテストは1次予選の1週間前に左足側面をはく離骨折してしまい、1打差で落ちました。ただ、合格するような実力はなく、『いい経験ができた』という思いでした」
20年のテストはコロナ禍で延期になった。翌21年には、延期された前年分含めて2回のテストが実施されたが、いずれも2次予選止まり。22年のテストは「大学4年の年齢。これが最後」と決めて受験した。結果は1打差で1次予選不通過だった。
「自分にプレッシャーをかけすぎました。すごく悔いが残りましたが『これ以上、親に負担をかけたくない』という思いもあり、両親にもそれを伝えました」