進む円安を肌で実感 「負けると後は自腹で…」1泊3万円超、帰りはエコノミー 切実な“テニスとお金”
家族持ちの選手にのしかかる現実「金がないと始まらない」
特に、円安の影響を感じるようになったのがこの2年間だという。「2023年はひどかった。コロナ明けは一時、燃油サーチャージが高くなって……。昨年はそっちは落ち着いて、飛行機はまだ安いチケットも探せるようになりましたけどね。今度は滞在費が上がって……」と悩みは尽きない。
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「独り身だったら赤字が出ても何とかなるかもしれませんが、遠征費でカツカツになると……。これ以上続けていいのかと考えることもありますよね」
松井は妻と12歳、4歳の子ども2人を抱える4人家族。「奥さんは元選手なので理解があります。『ポイント取ってこい!』という感じで海外遠征に送り出してくれますし、試合のアドバイスをもらうこともあります。ただ、家庭のワンオペはキツそうで……。僕がもっと親子の時間を大事にしたいというのもあります」
12月から、所属を離れてフリーとなった。来年の選手活動については、どこまでの範囲で叶えられるのか思案中だという。「金がないと、何をするにも始まらないのが現実です。何とか頑張ってくれ、続けてほしいという声もいただきますし、1月からはシーズン開幕まで時間がない中で営業活動もしようと思っています。スポンサーになっていただけるようでしたら、インスタグラムのDMで連絡していただけると……」と、幅広い層に呼びかける。
シーズン中に47歳となる今季、シングルスのポイントを勝ち取って世界ランキング入りし、歴代1位の最年長世界ランカー記録を更新するという野望もある。サービスで時速200キロを叩き出す肉体はいまだ衰えを感じさせない一方で、競技を続けるには歳を重ねれば重ねるほど、様々な壁も現れる。今季踏み出す道に注目だ。
(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)