[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

箱根駅伝で台頭、沖縄県にさらなる後押し 高校野球で一躍脚光の私学「エナジック」が“駅伝部”新設

沖縄の亜熱帯気候に適したトレーニング方法を模索し、名護高校の陸上女子駅伝部で結果を残した大城昭子さん。2014年に自身の母校である北山高校に赴任すると、男子の指導も始めた。そして2019年、後に沖縄の男子駅伝の歴史を塗り替えることになる上原琉翔や嘉数純平ら“黄金世代”が入学してきた。(前後編の後編、「箱根駅伝に異変 “長距離不毛の地”沖縄ランナーが躍進、環境不利な南国で何が…変革を牽引した2人の存在」から続く、取材・文=長嶺 真輝)

沖縄勢躍進の象徴、國学院大・上原琉翔は全日本大学駅伝アンカーを務めて胴上げされた【写真:産経新聞社】
沖縄勢躍進の象徴、國学院大・上原琉翔は全日本大学駅伝アンカーを務めて胴上げされた【写真:産経新聞社】

「北山ドリル」の考案で厚底シューズに適応

 沖縄の亜熱帯気候に適したトレーニング方法を模索し、名護高校の陸上女子駅伝部で結果を残した大城昭子さん。2014年に自身の母校である北山高校に赴任すると、男子の指導も始めた。そして2019年、後に沖縄の男子駅伝の歴史を塗り替えることになる上原琉翔や嘉数純平ら“黄金世代”が入学してきた。(前後編の後編、「箱根駅伝に異変 “長距離不毛の地”沖縄ランナーが躍進、環境不利な南国で何が…変革を牽引した2人の存在」から続く、取材・文=長嶺 真輝)

【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら

 ◇ ◇ ◇

 この頃に大城さんが練習に取り入れ始めていたのが、短距離選手がスピードを上げるために行うスプリントドリルである。

 肩甲骨と股関節を連動させたウォーキングや、お尻を中心とした体の背面や体幹を鍛えるダイナマックス、ピッチを上げるハードルトレーニングなど約15種類。短距離の強豪校の取り組みに独自のメニューを組み合わせ、オリジナルの「北山ドリル」を考案した。大城さん自身が短距離出身だったこともあり、もともと備えていた動作分析の慧眼も生かされた。

 しかし上原たちが2年生になった2020年、コロナ禍に入る。大会が中止になったり、練習時間が抑制されたりした。全国でも戦える感触があっただけにショックは大きかったが、下を向いている暇はない。この期間を利用し、効率的にスピードを出せる理想的なフォームを追究するためにドリルの改良を重ねた。

 テーマに掲げたのは、長距離界で急速に台頭してきていた高反発の厚底シューズを使いこなすことだった。

「名護高校で行った練習メニューに北山ドリルを組み合わせ、走る技術の改良を進めました。理想は、体の真下で、足裏の前半分で地面に接地するフォームです。力み感がなく、それでもぐいぐい前に進んでいくようなイメージ。これを実現するためには体幹の強さや体の使い方の上手さが必要ですが、ドリルの成果でほぼ完成に近いフォームができてきました。厚底シューズは反発が強い反面、怪我のリスクも高いシューズでしたが、40分かかる北山ドリルと体幹トレーニングを1日に2回ずつ徹底して行った上で取り入れたため、飛躍的にタイムが伸びました」

 5000mの沖縄県記録は2017年時点で14分31秒68だったが、上原たちが3年生となった2021年には、北山高校だけで5人が14分30秒を切った。中でも上原は、この年の春に日体大であった競技会で13分56秒84をマークし、沖縄の高校生として初めて「一流の証」とも称される13分台に突入した。

 結果、2021年末の全国高校駅伝で沖縄男子の史上最高順位となる27位に入った北山高校。ただ、大城さんは「私は20位切りを狙っていたんです」と明かす。約1か月前の練習中に上原が右足首を痛め、エース区間の1区で目標だった10位以内を大きく下回る26位。それに加え、大会当日の慣れない寒波も結果に大きく響いた。大城さんは苦笑いを浮かべて「なかなかうまくいかないものですよね」と当時を振り返るが、達成感もにじませた。

「確かに沖縄は気候条件として不利な面はあります。でも、それを言い訳にしていたら、いつまで経っても変わることはできません。その中で工夫をすればいい。雪国だって強いチームはいるんだから。それを証明してくれました」

1 2
W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
ABEMA Jleague
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集