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箱根駅伝に異変 “長距離不毛の地”沖縄ランナーが躍進、環境不利な南国で何が…変革を牽引した2人の存在

高校や都道府県対抗の陸上全国駅伝は40番台が定位置、個人でも目ぼしいランナーはピンとこない――。そんな「長距離不毛の地」だった沖縄が、変わりつつある。大学スポーツの花形である東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)に出走した沖縄県勢は、これまで十数人にとどまるが、今回の第101回大会にエントリーした選手は6人。史上6校目となる3冠達成を狙う國學院大学で主力を担う上原琉翔(3年、北山高校出身)を筆頭に、力のあるランナーがポツポツと現れてきた。育成環境としては不利とされてきた暑さの厳しい南国の離島県で、何が起きているのか。変革をけん引してきた北山高校前監督の大城昭子さん(61)、陸上クラブ「なんじぃAC」の創設者である濱崎達規さん(36)に話を聞いた。(前後編の前編、取材・文=長嶺 真輝)

箱根駅伝で存在感を増す沖縄勢、全日本大学駅伝で2冠に貢献した國学院大・上原琉翔(手前)がその筆頭だ【写真:産経新聞社】
箱根駅伝で存在感を増す沖縄勢、全日本大学駅伝で2冠に貢献した國学院大・上原琉翔(手前)がその筆頭だ【写真:産経新聞社】

今日号砲の箱根駅伝に6人の沖縄出身ランナーがエントリー

 高校や都道府県対抗の陸上全国駅伝は40番台が定位置、個人でも目ぼしいランナーはピンとこない――。そんな「長距離不毛の地」だった沖縄が、変わりつつある。大学スポーツの花形である東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)に出走した沖縄県勢は、これまで十数人にとどまるが、今回の第101回大会にエントリーした選手は6人。史上6校目となる3冠達成を狙う國學院大学で主力を担う上原琉翔(3年、北山高校出身)を筆頭に、力のあるランナーがポツポツと現れてきた。育成環境としては不利とされてきた暑さの厳しい南国の離島県で、何が起きているのか。変革をけん引してきた北山高校前監督の大城昭子さん(61)、陸上クラブ「なんじぃAC」の創設者である濱崎達規さん(36)に話を聞いた。(前後編の前編、取材・文=長嶺 真輝)

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 既に名前を出したが、近年の沖縄長距離界を引っ張るのは北山高校だ。那覇市から北へ、沖縄自動車道を使って約1時間半、沖縄の原風景が残る今帰仁村に立地する。著名な観光地「沖縄美ら海水族館」がある本部町の右隣にある村と言えば、場所のイメージがより伝わりやすいだろうか。

 北山高校の躍進を最も印象付けたのは、2021年の冬。第72回全国高校駅伝の男子で2時間7分48秒のタイムで47校中27位に入り、沖縄県勢の歴代最高順位を塗り替えた。

 上位半分にも入っていないため、「躍進と言えるのか…?」と疑問に思う人もいるかもしれない。が、順位の更新自体が実に40年ぶりで、男子の20位台も史上初という快挙だった。その間、40~50位台が34回あり、最下位の年も多かったため、テレビの全国中継で県勢が毎年最後の方に競技場へ戻ってくることに見慣れていた沖縄県民にとっては、間違いなく「躍進」だった。

 当時3年生でエースとして1区を担ったのが、國學院大学3年の上原琉翔だ。今回の箱根駅伝にエントリーしている沖縄県勢では、同大3年の嘉数純平、日本大学3年で副主将の大仲竜平も共に都大路でタスキを繋ぎ、一つ下である中央学院大学2年の前原颯斗も補欠で帯同した。

 彼らを育て上げたのが、2024年3月まで10年間に渡って北山高校の駅伝部監督を務めた大城さんである。上原ら“黄金世代”を率い、2020年にも沖縄県勢として歴代4番目に当たる34位に入った。なぜ、ここまで結果を残すことができたのか。その背景には、指導者となってから30年以上に及ぶ大城さんの試行錯誤があった。

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