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侍Jを翻弄した44歳左腕、今春実行した5か月の“臨時休業” 少年野球コーチからの復活「自信はあったよ」

「できないと思ったことは一度もない」プレミア12で先発能力を証明

「本当の基礎の基礎に戻る必要があった。メジャーレベル(の選手)だと、何度も繰り返してきたから自然とできる単純なことも、正しいやり方を教えてあげないといけない」。野球は簡単なスポーツではない。だからこそ、ヒットを打ったり、三振を奪ったりすると楽しく、うれしい。「夏の間、苦戦していた子がヒットを打って最高の笑顔を浮かべていた。それを見られたのはこの上なく素晴らしいものだった」。

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 コーチをする一方で、大学野球で捕手をしていた友人らの力を借りて練習を続けた。44歳という年齢で、実戦からも遠ざかっている。再びメジャー契約を勝ち取れるか不安はなかったか――。その問いにヒルは「ノー」と即答した。「自信があった。その自信は、競争心と恐れず挑戦する能力、そして努力から来るものだ」と力説。言葉通り、8月末に4度目の在籍となるレッドソックスでメジャー復帰を果たした。

「できないと思ったことは一度もない。ボールが自分の手から離れる感触から、打者をアウトにできるとわかるから」。今季は4試合で救援登板し、0勝1敗、防御率4.91。9月9日に自由契約となったが、「まだやれる」という感覚は持ち続けている。実際、今大会は3試合に先発し、10回1/3を5安打14奪三振で1失点(自責0)。大会ベストナインにも選出された。もちろん来季も、現役を続けるつもりだ。

 目指すは慣れ親しんだメジャーの先発マウンド。「この大会のおかげで、私は再び先発できると示せたと思う。自分が一番チームに貢献できるのは先発投手としてだと思っている」。一緒に来日したブライスくんにも、国を背負って輝く父の姿を見せられた。「思うように投げられなくなったら、それが本格的にコーチになる時かな」。優しく笑った44歳。今はまだ、その時ではない。

(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)

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