高橋大輔復活の裏で浮上した「第3の男」問題 32歳の背中は“若手の刺激剤”になるか
自ら代表辞退を決断した理由「僕自身迷ったところでもあるけど…」
「この全日本を目標に(今季)復帰させていただいて、僕自身、表彰台は難しいだろうなと思っていました。フリーでは自分の満足いく演技ができずに不甲斐ないフリーになったと思いますけど、総合2位はSPで逃げ切れた結果だったかなと思います。現役復帰した今シーズンはいろんな上手く行かないことや辛いこともあったんですけども、貴重な体験ができました。本当に全日本のメダルは想像していませんでした。現役復帰の目標として掲げた『最終グループに入る』ことも大変だなと思っていました。
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(全ての試合が)終わってから考えると思ってやってきましたが、スケーターとしては今後も続けていきたいと思っています。これまでの経験は生きると思いますし、全日本までやってきた今のレベルというものを少しでも落とさないようにもっともっと向上していけるように、披露する場がどんなところであっても、向上していけるようにやっていきたいと思っています。今日のフリーでも自分のメンタルの弱さを改めて知ることができたので、精神的にここ(現役)で長く滑り続けるには強くしていかないといけないと改めて思わせられた試合だったかなと思います」
引退から4年を経て、今季現役復帰した高橋は、目標に掲げた「全日本選手権最終グループ入り」を果たし、さらに自身が予想もしていなかったという銀メダルでの6年ぶりの表彰台にも立った。そして、この結果によって大きなチャンスが巡ってきた。注目が集まったのは、今年3月にさいたまスーパーアリーナで行われる世界選手権代表選考の行方だ。条件付きで代表に選出することを打診された高橋だったが、自分が世界の舞台で演技できる覚悟がまだないこと、そして後輩の若手に経験を積む機会を与えたいことなどを理由に代表辞退を申し出たという。5年前のソチ五輪後の14年3月に同じさいたまスーパーアリーナで行われた世界選手権に右膝痛のために欠場を余儀なくされ、そのまま同年10月に現役引退して心残りがあった高橋だけに、あの時に出場したくても叶わなかった自国開催の、それも5年前と同じさいたまスーパーアリーナで行う世界選手権に出場できるチャンスをなぜ掴まなかったのか。
世界選手権代表に選出された選手たちが記者会見に臨んだ後、代表辞退を決断した自らの思いを高橋はこう説明した。
「僕自身迷ったところでもあるんですけども、やはり、気持ちとしては、もし選ばれるのであれば行きたい気持ちはやまやまの部分はあるんですけども、やっぱり世界と戦う覚悟を持ちきれなかったというところがすごく大きな(辞退の)理由です。
(略)
この全日本選手権でどこまでいけるかをまったく想像できない中での戦いでした。現役復帰をスタートしたときに世界選手権のことは頭にありませんでした。今まで僕自身もトップで戦ってきて、世界で戦うことの難しさや精神力の必要性を経験している上で、その覚悟を持てないのに選ばれたからと言って出るべきではないと考えました。
(略)
僕自身、32歳でこの先に希望があるかというと、正直、ないと思います(苦笑)。その中で若手というか、今、日本を引っ張っている選手たちが世界選手権という一番プレッシャーの掛かる大きな大会で経験をたくさん積むことによって、今後、若手をはじめとした日本のスケートが盛り上がっていくためには若い選手がその舞台を経験することの必要性の方が大きいと感じましたので、今回、辞退させていただきました」