172cmの河村勇輝が届ける大きな希望 NBAのコートに立つことで伝えたかった子どもたちへの想い
米プロバスケットボール(NBA)のグリズリーズ・河村勇輝が25日(日本時間26日)、敵地ロケッツ戦に途中出場し、日本人4人目となるNBAデビューを果たした。3分34秒の出場で1アシストを記録。チームは108-128で敗れた。身長172センチの小柄なポイントガードは、子どもたちに伝えたい想いを背負って、夢の舞台に立った。(文=THE ANSWER編集部・鉾久 真大)
敵地ロケッツ戦で日本人4人目のNBAデビュー
米プロバスケットボール(NBA)のグリズリーズ・河村勇輝が25日(日本時間26日)、敵地ロケッツ戦に途中出場し、日本人4人目となるNBAデビューを果たした。3分34秒の出場で1アシストを記録。チームは108-128で敗れた。身長172センチの小柄なポイントガードは、子どもたちに伝えたい想いを背負って、夢の舞台に立った。(文=THE ANSWER編集部・鉾久 真大)
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緊張の面持ちでコートに入った23歳の背中に、どれだけの人が希望を乗せただろうか。身長172センチ。現在NBAで最も背が低い河村の出番は、第4クォーター残り3分34秒にやってきた。日本人4人目となるNBAデビュー。Bリーグ出身の日本人選手では初の快挙だ。残り1分14秒にはNBA初アシストも記録。インサイドでも果敢にリバウンド争いに飛び込み、試合終了のブザーまで縦横無尽に走り続けた。
「NBAのコートに立つこと。これが一番の目標」
7月9日、グリズリーズとの「エグジビット10」契約合意が発表された2日後の会見での言葉だ。「とんとん拍子で行くとは全く思っていない」。世界最高峰の選手たちとの戦い、身長差、言語の壁、異文化への順応。「もちろん早ければ早いほど嬉しい気持ちはあるが、現実的に考えればまだまだ足りないところはいっぱいある」。河村自身もNBAへの具体的なタイムラインは描けていなかった。
傘下Gリーグで経験を積んでから、という見方が優勢の中、キャンプとプレシーズンマッチで猛アピールに成功。自分より50センチ以上高い相手にも臆せず飛び込み、通訳なしで堂々と英語の取材にも対応した。「どれだけ自制心を持って、自分を律して成長していけるかが大切になる」。強い覚悟で挑戦し続け、開幕直前に2ウェイ契約を勝ち獲った。予想を覆し、わずか2戦目で夢の舞台に立った。
河村は渡米前、子どもたちに「チャレンジする大切さ」を伝えたいと力を込めた。「このサイズでもNBAのコートに立つことができると証明して、1人でも多くの小さな子どもたちがバスケットを始めるきっかけや頑張る原動力になれれば」。自身も田臥勇太や富樫勇樹が身長差をものともせず果敢に挑戦する姿に憧れた。「お二方の背中があったからこそ」。今度は自分がその系譜を紡いでいく番だ。
まず最初に掲げた目標は達成したが、これは始まりに過ぎない。順風満帆にいかないことは百も承知。言語や文化の違いに苦しみ、バスケで歯が立たないこともあるだろう。しかし「どんな困難になろうとも立ち向かう自信はある」と言い切った。困難こそが自分を選手として、人として成長させてくれると信じているから。そんな挑み続ける小さな背中は、今後も大きな希望を届けてくれるはずだ。
(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)