ドラフト指名目指す30歳、2軍球団で気づいた投球の“真髄” 年齢と引き換えにつかんだ武器「失敗した数が…」
今季からプロ野球の2軍ウエスタン・リーグに新たに参戦したくふうハヤテに、世界を股にかけて進化を続ける30歳右腕がいる。平間凜太郎投手は日本の独立リーグから2度のメキシコ挑戦を経て2軍球団へ。シーズン序盤はリリーフ、後半戦は先発としてフル回転した。2度の指名漏れや海外でのプレーを経て、30歳の今もNPB入りを目指し続ける。今も自身に感じる“可能性”を語ってくれた。(取材・文=THE ANSWER編集部、羽鳥慶太)
メキシコでも投げた平間凜太郎、くふうハヤテでフル回転
今季からプロ野球の2軍ウエスタン・リーグに新たに参戦したくふうハヤテに、世界を股にかけて進化を続ける30歳右腕がいる。平間凜太郎投手は日本の独立リーグから2度のメキシコ挑戦を経て2軍球団へ。シーズン序盤はリリーフ、後半戦は先発としてフル回転した。2度の指名漏れや海外でのプレーを経て、30歳の今もNPB入りを目指し続ける。今も自身に感じる“可能性”を語ってくれた。(取材・文=THE ANSWER編集部、羽鳥慶太)
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「僕の最大の武器は、失敗した数が人と全然違うことなんです」
NPB12球団のスカウトにどこを見てほしいか。平間に問うとこんな答えが返ってきた。その野球人生は波乱万丈だ。社会人野球の日本製鉄東海REXを退部して、四国アイランドリーグの高知へ。150キロ超のストレートを武器に最多セーブのタイトルを獲得し、2020年、21年とNPB球団から調査書も届いた。
しかしドラフト会議では名前を呼ばれず、視線は海外へ。2022年には夏のメキシカンリーグで、名門メキシコシティ・レッドデビルズに加入し1勝。昨冬は同球団のウインターリーグでも投げ防御率1.69と好投した。そして今季、NPB2軍に参入したくふうハヤテ入り。ついにNPBの打者と日常的に対戦する環境に身を置いている。そこで感じたものとは――。
「やっぱり、アウトを簡単に取れないんですよ。バットに当てるのが本当にうまくて……。これは日本野球の特徴だと思います。僕は三振を取る投手だと思っていたんですが、本質は違うのではと気付かされました。実は自分は、ゴロでアウトを取る投手なのではないかと」。その境地に達するまでの過程もまた、失敗の連続だった。
平間の武器は、縦に鋭く曲がり落ちる「ナイアガラカーブ」だ。NPB投手の平均が2500回転といわれるところ、軽く3000回転を超える異質なボールで、これまで戦ってきたリーグでは三振の山を築いてきた。9イニングあたりの奪三振は10個を下らなかった。
ところが今季は、それが4.24個にとどまる。「カーブを狙ってくる打者にはバットに当てさせて、ゴロを打たせています。日本の打者は、難しい球をファウルにする技術が一番高い。だったら1個分甘くして、まともに振らせずに打たせる。これが本当の自分の武器なんだと分かりました」。得点を防ぐには走者を出さないことに加え、長打を打たれないこと。そのための方法を、考え抜いた上での作戦だった。