大谷偉業を支えた恐怖の男ベッツ 負傷者続出の終盤「言い訳はダメ」…下を向かないリーダーの背中
終盤戦の苦境で放った言葉「嵐の中にいる時は…」
マインドはチームにも浸透した。
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前半戦は2位に一時9ゲーム差をつけながら、後半は2位パドレスの猛追を受けた。グラスノー、カーショー、ストーンら投手陣に離脱者が続出。打線もかみ合わず、名門球団が苦しんだ。気づけばゲーム差は2。「離脱者が多いのは残念だけど、それを言い訳にしちゃいけない」。ロッカールームの空気は重い。でも、ベッツは前だけを見た。
「調子の上がり下がりはあるもの。抜け出す方法を見出さないといけない。嵐の中にいる時はそれと戦うのではなく受け入れないと。そこで抜け道を見つけ出すんだ」
今季、大谷は開幕から初本塁打まで8試合、41打席を要した。打線を牽引したのがベッツ。175センチの決して大きくない体でアーチをかちこみ続け、開幕ダッシュの支えになった。内野守備にも挑戦。6月には死球で左手を骨折し、2か月の離脱を強いられたが、カムバックすれば打棒を発揮した。大谷敬遠後に回ってきた2度の機会はともに決勝打。一つは3ランだった。
大谷は「53-56」の歴史的記録を更新中。相手が勝負を避けられないのは、ベッツが待ち構え、恐怖を与え続けているから。「彼(大谷)には俺たちみんなの助けが必要だ。俺らはサポートするよ」。出場113試合で打率.292、19本塁打、75打点、16盗塁。大谷の盗塁を待つことで、理想通りの打席を迎えられなくても結果を残し続けた。
子どもの健康をサポートする基金の設立など慈善事業にも積極的。今季は社会貢献活動の功績を称える「ロベルト・クレメンテ賞」の候補に名を連ねた。客席のユニホームは17番の次に多いのがベッツの「50」だ。
目指すは4年ぶりのワールドシリーズ制覇。「この勢いをキープするのは簡単じゃないよ」。世界屈指の1、2番コンビから始まる最強打線でプレーオフも駆け上がる。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)