世界が驚いた19歳・安部裕葵 恩師が証言した「長友とも金崎とも違う体の強さ」
片道2時間バスで通うことも…19歳が持つ、長友とも金崎とも違う体の強さ
そして、2017年に鹿島に入団が決まると、すぐ木場氏の携帯電話が鳴った。
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「体幹トレーニングをやりたいです」
瀬戸内高時代からの師弟関係は続くことになった。ルーキー当時、自家用車はない。木場氏に師事している当時鹿島の先輩だったFW金崎夢生(現鳥栖)の車に同乗し、都内の木場氏の運営するジムに向かった。片道2時間のバスで通ったこともあった。
「わざわざバスで来るんですよ。金崎選手の存在も大きかったのかもしれません。そこまでステップアップの機会を求めていたんだと思います」
鳥栖移籍後もオフに都内で指導を受けることもある金崎。安部はそのストイックさに学んだようで、特性ゴムチューブ、ウォーターバック、マットなどを駆使した厳しいトレーニングに汗を流した。U-19日本代表選出時にも、木場氏のもとに「トレーニング動画を送ってください」と連絡があったという。
「今年は年始恒例の八丈島合宿にも参加していました。長友ロードと呼ばれる坂道を走る厳しいトレーニングがあります。年上の選手や日本代表選手もいる中で、彼は先頭で走っていた。普段から真面目で気さくな好青年ですが、ここ2年で自信も感じさせます。トレーニングに対する取り組みがとにかく前向きです」
サッカー選手の合同自主トレでも19歳の新鋭のプロ意識と人間性が輝いていたという。長友、金崎らサッカー界で有名なフィジカルエリートを指導してきた名伯楽の眼に、安部はどう映っているのか。
「長友選手や金崎選手の強さとはタイプが違います。金崎選手なら相手と体をぶつけもブレない強さがあります。強靱さもありながら、1歩目の反応速度が極めて高い長友選手と同様、安部選手にはしなやかさがあります。強さの中に動きの柔らかさを感じさせますね」
フィールドで見せるしなやかな強さこそが安部の特長と木場氏は言う。数々の名選手に携わってきた名トレーナーの流儀も進化を続ける、ストイックな19歳の揺るがぬベースとなっているようだ。
(THE ANSWER編集部)