バスケ川崎“新時代”へ「ファンの予想を裏切りたい」 元日本代表・篠山竜青、10月ホーム7戦で誓う躍進
バスケットボールBリーグの川崎ブレイブサンダースは今、新たな時代を迎えようとしている。2012年の加入以来、エースの座に君臨したニック・ファジーカスが現役を引退し、アグレッシブなプレーが魅力の藤井祐眞、ゴール下の守護神ジョーダン・ヒースら長年チームを支えた選手も満了となりチームを離れた。5シーズンにわたってヘッドコーチ(HC)を務めた佐藤賢次氏も退任するなど、チームの顔触れは今夏大きく変わった。
ギンズブルグ新体制の川崎ブレイブサンダース、Bリーグ開幕へ連日の猛練習
バスケットボールBリーグの川崎ブレイブサンダースは今、新たな時代を迎えようとしている。2012年の加入以来、エースの座に君臨したニック・ファジーカスが現役を引退し、アグレッシブなプレーが魅力の藤井祐眞、ゴール下の守護神ジョーダン・ヒースら長年チームを支えた選手も満了となりチームを離れた。5シーズンにわたってヘッドコーチ(HC)を務めた佐藤賢次氏も退任するなど、チームの顔触れは今夏大きく変わった。
【注目】Bリーグ2024-25シーズン開幕! 川崎ブレイブサンダース「10月ホームゲーム7試合」のチケット購入はこちら
そして2024-25シーズンへ向けて、チェコ代表を世界の強豪国に育て上げたロネン・ギンズブルグ(愛称:ネノ)新ヘッドコーチ(HC)を招聘。5選手を新たに獲得するなど、前身の東芝時代から日本のバスケットボール界を長く牽引してきた名門は、復権に向けてこれまでとは異なる姿を見せようとしている。
そんな“新生”川崎ブレイブサンダースを、チーム一筋14シーズン目を迎える篠山竜青はどのように見ているのか。昨季の西地区王者・名古屋ダイヤモンドドルフィンズと東地区2位アルバルク東京が加わった激戦のB1中地区制覇へ、日本代表としても活躍した司令塔に話を聞いた。
◇ ◇ ◇
8月下旬。練習試合を終えたばかりの篠山竜青は力なく我々を迎え入れ、「毎日を無事に終えることで必死です」と苦笑した。
ネノHCの目指すスタイルは、攻守ともに展開と判断の速いチームバスケット。8月26日に行われた記者会見で、昨シーズンまで指揮を執っていたウクライナのクラブでは、1試合の攻撃回数の目標値を80回に設定していたと話した。ちなみに昨季のB1トップは長崎ヴェルカの平均76.4回。川崎は16位の71.2回だった。
このようなスタイルを浸透させるため、ネノHCは今季の始動直後から非常に激しい練習を選手たちに課しているという。7月に36歳になったチーム最年長の篠山も、もちろん例外ではない。むしろネノHCは、合流前に昨季の試合映像を見て「7番(篠山)と33番(長谷川技、35歳)はもっと走れる」と話していたらしい。
「僕らはいつも、走行距離などの数値を計測する機械をつけてプレーしているんですけど、これまでのシーズンと比べて運動強度の数値が上がっています。なんと言いますか、練習中に止まる時間がないんです。ドリルも長い距離を走るものが多いですし、別の選手がやっているのを見ている時間というものがなくて常にプレーしている感じ。二部練の日は個人でワークアウトする余力も残っていないくらいです」
若手も外国籍選手も「全員弱音ひとつ吐かずに全力でやる」
そう言ったあと、篠山は続けた。
「でもまあ、刺激的で楽しいですよ。つらいですけど(笑)。これまでとはスタイルが全然違うし、楽しくやれています。ここから開幕に向けてコンディションがさらに上がって、新しい自分のスタイルも見えてくるんじゃないか。そういった期待も含めて楽しくやれていると思います」
近年の川崎のバスケは、藤井とファジーカスのピック&ロールを軸としたハーフコートバスケとして認知されることも少なくなかった。しかし、前身の東芝バスケットボール時代の伝統であり、2019年にゼネラルマネージャーに就任した北卓也が一貫して思い描いてきたのは、アップテンポなチームバスケット。そういう意味で今季の川崎が迎えるのは“変革期”ではなく、伝統のスタイルをさらなる高みへと押し上げる“革新期”とも言えるだろう。
そして篠山は、この“川崎ブレイブサンダース2.0”を体現するうえで頼もしい仲間たちが揃ったと力を込める。
「相当きつい練習をしているんですけど、外国籍を含めて全員弱音ひとつ吐かずに全力でやりますし、早い時間から1人でワークアウトしに来たりしています。若手たちからも『この1年で自分の力を証明してやる』『自分の力をすべて注いでチームの力を証明してやる』というエネルギーをすごく感じられます。コーチもやることも変わって、アジャストにはそれなりに時間がかかると思いますけど、リーダーシップがあって、腐らずコツコツ積み重ねられる12人が揃ったので、チームビルディング的なところはあまり心配していないです」
篠山が「今季の注目選手」に挙げた新加入の3人
長年にわたってチームの中核を担ってきた篠山に「今季の注目選手は?」と問うと、新加入の小針幸也、マシュー・ライト、アリゼ・ジョンソンの名前を挙げた。
■小針幸也(172センチ・72キロ/PG/神奈川県横浜市出身/長崎ヴェルカから期限付き移籍)
「本当にスピードのある選手です。ボールを持った時のスピードはリーグでも突出したものがあるんじゃないかな。(川崎市の)桐光学園高から神奈川大に進んだがっつりした神奈川の人ですし、ぜひうちでブレイクしてほしい選手の1人です」
■マシュー・ライト(193センチ・86キロ/SG/カナダ出身、フィリピン国籍/京都ハンナリーズから移籍)
「日本人のことやBリーグのスタイルをある程度分かっているし、外国籍選手ともコミュニケーションを取れるので、いい意味でつなぎ役になってくれる選手です。何より、持っているボールハンドラーとしての能力や、個で局面を打開できる力でチームの核になってくれることを期待しています」
■アリゼ・ジョンソン(206センチ・98キロ/PF/米国出身/プエルトリコリーグから移籍)
「合流初日からアグレッシブにプレーし、声もよく出してくれているムードメーカーです。ワークアウトに対しても真面目。オフコートではまだシャイな部分がありますけど、『俺のことが大好きだとメディアに言え』とかちょくちょくジョークも言い始めています(笑)」
新しい時代が始まる期待感と、クタクタな体を包む充実感。そのどちらもが、開幕前夜の篠山にこれまでにない喜びを与えていることは紛れもない事実だ。
そのうえで篠山は、自分たちの現在地を次のように冷静に捉えている。
「ヘッドコーチを含めて日本が初めての選手も多いですし、B1上位レベルをしっかり経験できている選手も決して多くないので、最初から全部がピタッとはまって上手くいくとは思っていません。開幕してしばらくは苦しむ時間もそれなりにあると思います」
しかし、動じない。長いシーズンを戦うプロバスケットボールチームにとって大切なものが何かを篠山は知っていて、それを表現できる仲間たちがそばにいるからだ。
「一番大事なのはエネルギー。ハッスルすることやリバウンドに対する気持ちと、それを遂行する力だと思っています。順風満帆とはいかないと思いますが、このメンバーなら崩れることなく戦えるという感覚はありますね」
10月のホーム7試合で「魅力あるバスケットを見せたい」
2024-25シーズンのBリーグは10月3日に開幕を迎え、川崎は10月中にホームの川崎市とどろきアリーナで7試合を戦う。篠山はシーズンを通じて見てほしいものとして「個人とチームの成長」を挙げたが、その成長の第一歩目をホームアリーナで見届けることができる、またとない機会だ。
「今年の川崎はチャレンジャーだと思っています。今やっていることをしっかり形にして、見ている人の予想を裏切るサプライズチームになりたいですね。自分自身もずっと『優勝候補』と言われてきたところから、『真の挑戦者』というメンタルでやれるのが楽しみです。10月は『今年の川崎のバスケット』を見せる1か月。スピーディーでアグレッシブで魅力のあるバスケットを展開して、応援したくなるようなチームをお見せしたいです」
■10月ホーム開催試合
10月5日(土)18:05 vs秋田(HOME/とどろき)
10月6日(日)16:05 vs秋田(HOME/とどろき)
10月18日(金)19:05 vs横浜BC(HOME/とどろき)
10月19日(土)18:05 vs横浜BC(HOME/とどろき)
10月23日(水)19:05 vsSR渋谷(HOME/とどろき)
10月25日(金)19:05 vs群馬(HOME/とどろき)
10月26日(土)16:05 vs群馬(HOME/とどろき)
■チケット詳細
川崎ブレイブサンダース公式サイト
https://kawasaki-bravethunders.com/ticket/
【写真提供:川崎ブレイブサンダース】
(THE ANSWER編集部)