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2028年ロス五輪追加競技「フラッグフットボール」とは タックルのないアメフトが高校女子で選手急増の背景

五輪追加競技になることで競技人口増加の起爆剤に

 このイベントではあるスライドに映し出された。それは、フラッグフットボールの競技チームを持つ大学が増えていることを示すものだった。

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 NAIA(National Association of Intercollegiate Athletics 全米大学対抗体育協会)はフラッグフットボール部を増やすためにNFLとパートナーシップを結んでおり、このイベント時点で24校が加盟予定。NJCAA(National Junior College Athletic Association 全米短期大学体育協会)もフラッグフットボールを競技種目として採用して7校が加盟予定、また、NCAA(全米大学体育協会)のアトランティック・イースト・カンファレンスでも今年4月に第1回アトランティック・イースト・カンファレンス女子フラッグフットボール選手権大会を開催した。ミシガン州の私立大学でNAIAに加盟しているシエナハイツ大学も2025年春に向けてチームを編成すると発表した。1年目は15人、2年目は25人を迎えたいとしており、スポーツと学業の奨学金を出すことも明らかにしている。

 大学がフラッグフットボールのチームを持つことによって、高校生選手は大学でも競技を続けられるようになる。そして、フラッグフットボール選手であることが加点材料になり、そのチームを持つ大学に合格できる確率が高まるかもしれないこと、さらに奨学金を得る材料にもなり得るというメリットもある。これによって、小学生や中高生がどのスポーツをするかを選ぶときに、大学でできないから、という理由で選択肢から外れることが減るだろう。

 大学側にも利点はある。高校のフラッグフットボール選手が増えたことを受けて、大学がチームを持てば、フラッグフットボールをし、なおかつ、学業成績のよい学生を集めることに役立つからだ。シエナハイツ大学でも、フラッグフットボールを持たない大学の周辺にいる高校生の関心を惹きつけようとしている。

 競技人口を増やすにあたって、オリンピック種目となることは大きな起爆剤になる。それと同時に、オリンピアンにはなれないが、競技力の高い高校生の受け皿になる大学チームの存在も大きいといえるのではないか。高校生たちは、奨学金を得て大学の高いレベルで競技をしながら、学位も得て、そして、社会に出ていくのだ、という現実的な目標を描くことができるからだ。

(谷口 輝世子 / Kiyoko Taniguchi)

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谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

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