プロに行きたいなんて「とても言えなかった」 大学で実績ゼロの右腕が2軍球団で変身…24歳が迫る新記録の意味
大学での登板はたった3試合、NPB選手との対戦で磨いた武器
創価大時代の実績はないに等しい。リーグ戦の登板は「4年間で3試合だけです。1年の秋に1試合、4年の春秋に1試合ずつ」。サイドスローからの直球は、当時も145キロ近く出た。ずっとベンチ入りしていたものの、勝負がかかった試合での信頼をなかなか得られなかった。
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「だから、プロ野球に行きたいなんてとても言えませんでした。心の中で言っているだけというか……」。卒業時に、野球を続ける選択肢としてあったのは何とか見つけたこのチームだけ。そこで使われ続けることで、才能が開花しつつある。
相手がNPBの2軍に変わった今季、さらなる成長として自身の“特徴”も利用できるようになってきた。直球はシュート回転するクセ球。甘く入れば打ちごろになってしまうが、右打者の内角、厳しいコースへ狙って投げられれば武器にもなると分かってきた。
「相手はプロです。元々スライダーには自信がありましたけど、外、外だけだと打たれてしまう。それが分かってからは、ちゃんと自分の投球ができる時は打たれていないと思います」
残り1か月のアピールしだいで、NPBへの扉が開く。「絶対にプロになってやるという思いだけで続けられているようなものです」という野球人生を変えるチャンスだ。スカウトはどうしても年齢を見る。挑戦の“リミット”も迫る24歳が残す最多セーブは、NPB球団にどう評価されるのか。ドラフト指名が叶えば、後に続く選手にも大きな道を開くはずだ。
(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)