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議論渦巻くブレイキン判定「『クール』は数字で表せない」 IOCは過去に「主観の入る競技」除外案も…辿り着いた結論

スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、4年に一度のスポーツの祭典だから五輪を観る人も、もっと楽しみ、もっと学べる“新たな見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値の理解が世の中に広がり、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。

ブレイキン男子3位決定戦、圧巻のダンスで魅了した半井重幸【写真:ロイター】
ブレイキン男子3位決定戦、圧巻のダンスで魅了した半井重幸【写真:ロイター】

「シン・オリンピックのミカタ」#103 連載「OGGIのオリンピックの沼にハマって」第18回

 スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、4年に一度のスポーツの祭典だから五輪を観る人も、もっと楽しみ、もっと学べる“新たな見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値の理解が世の中に広がり、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。

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 今回は連載「OGGIのオリンピックの沼にハマって」。スポーツ新聞社の記者として昭和・平成・令和と、五輪を含めスポーツを40年追い続けた「OGGI」こと荻島弘一氏が“沼”のように深いオリンピックの魅力を独自の視点で連日発信する。

 ◇ ◇ ◇

 ブレイキンの判定が話題になっている。「Shigekixは勝っていただろう」と友人からもメールが来た。3位決定戦を見ていて、正直メダルだと思った。相手よりもよく見えた。そう思った人が多かった(日本人だけかもしれないが)から「判定がおかしい」となる。

 ブレイキンの勝敗はジャッジが下す。音楽性、独創性など5項目を相対評価し、それぞれ優劣をつける。絶対的な点数ではないから、圧倒的な差も、わずかな差も、ポイントは同じ。ダンス全体の印象と部分的な評価の積み重ねに差異があっても不思議ではない。

 それでも、ジャッジは絶対だ。「人選は、すごく大事」らしい。名を連ねるのは、いずれも著名なダンサー。1人ずつフロアで踊ってからジャッジ席に着く。これほど盛り上がるジャッジ紹介は知らない。そんなレジェンドの判定だから、プレーヤーも納得する。ジャッジが9人と多いのも「主観」をより「客観」に近づけるためだ。

 もちろん、ダンスの優劣は見る人によっても違う。「赤が勝ったと思う」「青の方が良かった」というのは勝手だ。好き嫌いもあるし、どこで優劣をつけるかによっても違う。解説者やスタジオの岡村隆史が「僕のジャッジではShigekix」と言うのに引っ張られるのも分かるが、彼らも「判定がおかしい」とは言わない。様々な見方があるのは分かっているし、ジャッジの判断をリスペクトしているからだ。

 Shigekix自身も勝敗を受け止める。負けたことは「悔しい気持ちはある」が、準備してきたことを「出し切った」満足感もある。最後に勝敗を決めるのはジャッジだし、高評価を得るために想像もできない努力を続けてきた。それでも、ジャッジの判断は受け入れる。悔しさや憤りがあっても、ジャッジに向くことはない。

 スケートボードやサーフィンも、ジャッジの「主観」は絶対だ。技の得点が決まっているわけではないし、同じトリックをしても得点がまったく違うこともある。ビデオで見返して、細かく判断を下すこともない。「かっこいい」「クール」など数字では表せない。

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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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