[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

関係者が頭を抱えたスケボー五輪採用 かつて君が代が流れてもお喋りした“子供たち”が世界で通用したワケ

スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、4年に一度のスポーツの祭典だから五輪を観る人も、もっと楽しみ、もっと学べる“新たな見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値の理解が世の中に広がり、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。

スケートボード女子パークの表彰台に上がった開心那、アリサ・トルー、スカイ・ブラウン(左から)【写真:ロイター】
スケートボード女子パークの表彰台に上がった開心那、アリサ・トルー、スカイ・ブラウン(左から)【写真:ロイター】

「シン・オリンピックのミカタ」#73 連載「OGGIのオリンピックの沼にハマって」第14回

 スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、4年に一度のスポーツの祭典だから五輪を観る人も、もっと楽しみ、もっと学べる“新たな見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値の理解が世の中に広がり、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。

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 今回は連載「OGGIのオリンピックの沼にハマって」。スポーツ新聞社の記者として昭和・平成・令和と、五輪を含めスポーツを40年追い続けた「OGGI」こと荻島弘一氏が“沼”のように深いオリンピックの魅力を独自の視点で連日発信する。

 ◇ ◇ ◇

 初めてストリート日本選手権が行われた都内のパークで、日本ローラースポーツ連盟(現ワールドスケートジャパン)の幹部は頭を抱えながら言った。「開催国として、せめて恥ずかしくない成績を残さないと」。東京五輪での実施が決まり、慌てて日本選手権を開催したのは17年夏、今から7年前のことだった。

 関係者が不安になるのも無理はなかった。小学生も少なくない大会の選手平均年齢は14歳。開会しようにも遊びをやめず、君が代が流れても友だちとのおしゃべりは続く。まるで小中学校の運動会。スーツ姿の大会役員とテレビカメラの放列が、あまりに不似合いだった。

 開催都市提案の追加種目とはいえ、野球・ソフトボールや空手と違って日本側が実施を望んだわけではなかった。サーフィンやスポーツクライミングは前向きだったが、競技の統括を押し付けられた連盟は困惑するばかり。「五輪でスケボーやるなんて無理。絶対に問題が起こるし、すぐに撤退になるよ」と吐き捨てる関係者もいた。

 この年に堀米雄斗は米国に拠点を移したし、中村貴咲や西村碧莉など世界で活躍する選手はいた。しかし、それは一握り。世界選手権はもちろん、オープンな国際大会もない。米国やブラジルなどが強いのは分かっても、日本の世界での立ち位置を知る物差しがなかった。

 もっとも、日本側の心配とは裏腹に、視察した国際連盟の幹部は子どもたちのレベルの高さに驚いていた。「日本のスケーターは素晴らしい。特に女子は世界のトップレベルにある」。ただの社交辞令だと思ったが、すぐにそれが事実だということが分かった。

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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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