[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

「お前のパスにお金は払ってない」 日本人FWがスペインで要求された仕掛けの意識

「誰もが点を取ってナンボ」…草サッカーでも実感したスペイン人の負けず嫌い

 スペイン人の攻撃好き、負けず嫌いは、街で飛び入り参加した草サッカーでも実感したという。

「みんな自己主張が強くて、誰もが自分が点を取ってナンボだと思っている。おじさんたちが平気で角度のないところから狙って来ます。子供も交じった遊びでも、わざと抜かれてあげたら『真面目にやれ!』と怒鳴られました」

 2部所属のレイダだったが、カップ戦ではバルセロナとも対戦。「コイツら、うめえなあ、と感心しながら試合をした」という。ちなみに、同じスペイン1部のデポルティボ・ラ・コルーニャの育成担当に「どんな子を獲ってくるの?」と尋ねたら、「ドリブルのできる子」と返ってきた。

 そんなスペインサッカーに馴染んだ安永だけに、1999年に帰国後、清水エスパルスではイングランド人のスティーブ・ペリマン監督にすべてを否定され、誇張抜きで毎日呼び出されたという。

「数的不利なら空いている選手がいるんだからパスを出せ。ファーストトップはゴールを背にしているんだから、無理に前を向こうとするな」

 そういう意味では、仕掛けが大好きなドリブラーである乾貴士は、スペイン向きだったに違いない。ドイツ時代から「課題は仕掛けた後のフィニッシュ」だと指摘されてきたが、バルサから奪った2ゴールは、エイバルのサポーターの心を掴むには十分だったはずである。

【了】

加部究●文 text by Kiwamu Kabe


W-ANS

1 2

加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近、選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集