「0対100の9回からでも逆転できる」 五輪から外れた今、大真面目に語る「野球が人を育てること」――野球・G.G.佐藤
スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、大のスポーツファンも、4年に一度だけスポーツを観る人も、五輪をもっと楽しみ、もっと学べる“見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値が社会に根付き、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。
「シン・オリンピックのミカタ」#62 連載「私のスポーツは人をどう育てるのか」第6回
スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、大のスポーツファンも、4年に一度だけスポーツを観る人も、五輪をもっと楽しみ、もっと学べる“見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値が社会に根付き、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。
【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら
今回は連載「私のスポーツは人をどう育てるのか」。現役アスリートやOB・OG、指導者、学者などが登場し、少子化が進む中で求められるスポーツ普及を考え、それぞれ打ち込んできた競技が教育や人格形成にもたらすものを語る。第6回はプロ野球・西武などで活躍し、2008年北京五輪に出場したG.G.佐藤氏。お調子者のイメージが強い45歳が、真面目に野球の魅力を語った。(取材・文=THE ANSWER編集部・宮内 宏哉)
◇ ◇ ◇
野球は人の何を育むのか。直球質問にG.G.佐藤が答えた。
「諦めない心です。これは野球の特性なんですよ」
こう説く理由に、時間に縛られない面を挙げる。
ピッチクロックの導入など試合時間の短縮こそ図られているが、コールドを除けばどんなに点差が離れても27のアウトを取るまで終わらないのが野球。サッカー、バスケットボールなど多くのメジャー競技とは一線を画す部分だ。
「0対100の9回から逆転できる可能性、あるわけです。ゼロじゃないんです。野球人が諦めない心を持っているのは、どこかで逆転できるかもって思っているから。ゲームセットまで分からない、特殊なスポーツだと思います」
G.G.佐藤の野球人生も、諦めない心が切り開いてきた。法大では4年間補欠。父には「お前は絶対プロになれるから諦めるな」と言われ続け、もがいた先で光を見つけた。
1998年、MLBで繰り広げられたマーク・マグワイアとサミー・ソーサの本塁打王争いを見て「これだ」と確信。ボディビル雑誌を参考に、筋力トレーニングを徹底した。当時、激しい筋トレを疑問視する声は多く、実際に「お前はなれない、無理だ」と指導者にも否定的な見方をされた。
「関係ない。自分の人生だ」。1年で30キロ体重を増やし、これが功を奏する。フィリーズ入団テストで強靭な肉体が目をひき合格。マイナーで3年間経験を積み、西武入団につなげた。
「(野球は)やればできるって心が育つと思うんですよね。僕はずっと言われていたから。だから、ポジティブな声掛けを子どもたちにはめちゃくちゃしてあげたいっすね。欠けているものは何もないんだって」