[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

中国斬り寸前で蘇った張本智和の言葉 帰化から10年、他人を認めない「ネットの声」の受け流し方

パリ五輪は1日、卓球男子シングルス準々決勝が行われ、世界ランク9位の張本智和が2023年世界王者の同4位・樊振東(中国)に3-4で惜敗した。元世界1位の金メダル候補とフルゲームの熱戦。金星目前まで迫った今、2年前に話していた張本の言葉が蘇った。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

男子シングルス準々決勝で大接戦を繰り広げた張本智和【写真:ロイター】
男子シングルス準々決勝で大接戦を繰り広げた張本智和【写真:ロイター】

パリ五輪

 パリ五輪は1日、卓球男子シングルス準々決勝が行われ、世界ランク9位の張本智和が2023年世界王者の同4位・樊振東(中国)に3-4で惜敗した。元世界1位の金メダル候補とフルゲームの熱戦。金星目前まで迫った今、2年前に話していた張本の言葉が蘇った。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら

 ◇ ◇ ◇

 パリ五輪中、各競技で結果に納得のいかない人の声がネットで選手、関係者にぶつけられている。心の痛みを発信する選手も現れた。誹謗中傷が社会問題化して久しい。「多様性」という言葉も耳慣れたものになったが、頑なに他人を受け入れない人もいる。心無い言葉をぶつけられた側はどう対処すればよいのだろうか。

 そんなことを考えながら張本の奮闘を見ると、19歳だった2年前に聞いた彼の言葉が蘇った。

 2022年世界卓球団体戦(中国・成都)の男子準決勝。日本は中国に2-3で惜敗したが、2勝をもぎ取ったのが、当時シングルス世界ランク4位の張本だった。同1位の樊、同11位の王楚欽を撃破。9連覇中だった絶対王者を追い詰め、世界に衝撃を与えた。

 両親は中国・四川省出身。父はプロ選手として活躍し、1990年代に日本へ移り住んだ。自身は宮城・仙台市で生まれ、ラケットを握り始めたのは2歳の時。幼い頃から全国大会で活躍し、11歳を前にした2014年の春、5歳下の妹・美和とともに日本へ帰化した。

 近年、多様性の流れが加速してきたとはいえ、これまで風当たりが強くなかったわけではない。「最初は別に何も気にしていなかった」と外野の声に無関心。しかし、活躍とともに少しずつ名前が売れ、「15、16歳の頃」にはネット上のコメントに傷つく瞬間もあった。

 ただ、今は違う。自身のルーツとなる国と激闘を繰り広げた試合直後、「帰化選手」の境遇に対する本音を明かしてくれた。

「実際に自分と接してくれた方で、嫌なことを言って来た人は一人もいません。幼稚園から卓球を始めて、出会った選手、スタッフの中で嫌だった人は一人もいないです。今ではネットでそういうことがあることは、仕方ないと思っています。

 もし、自分がもともと日本人だったとしても、何か言われることはあるでしょうし、親が日本人であってもあると思います。最初はちょっとつらい気持ちがありましたけど、どんなトップ選手でもあることなので、今は嫌なことは全くないです」

1 2
W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
ABEMA
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集