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体操ニッポンに見た「伝承」の強さ 起源は“真似”にあり…8mmビデオから始まった「お家芸」

日本スポーツに増える「お家芸」への期待

 この日は、もう1つの「お家芸」柔道でもメダルを獲得した。ただ、日本発祥というだけではない。伝統を「継承」しながら、世界に合わせて進化させてきたからこそ、今の強さがある。こちらも、体操同様に世界王者が身近にいる。「金メダル」が現実的な目標になる。だからこそ強くあり続けられるし「お家芸」になりうる。

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 五輪では他にも「お家芸」がある。競泳では1928年アムステルダム大会の鶴田義行が初めて金メダルを獲得した平泳ぎ。前畑秀子、田口信教、岩崎恭子、北島康介らが12個の金メダルを手にしている。自由形に比べて技術的要素が強く、潜水泳法、田口キックなど独自の工夫を「継承」してきたからこそ「お家芸」になった。

 レスリングでは男子のバンタム級(57キロ級)。廃止されたフライ級(54キロ級)と並ぶ5個の金メダルを獲得しており、16年リオ大会銀メダルの樋口黎は今大会で「伝統のバンタム」復活を目指す。近年では女子も伊調馨や吉田沙保里の活躍で「お家芸」になりつつある。

 堀米雄斗が連覇し、女子も2大会連続日本勢が優勝したスケートボードも、将来的には「お家芸」になるかも。金メダルの吉沢恋が「東京大会を見て、出たいと思った」というように、継承のスピードは驚異的に速い。フェンシングも将来的には「お家芸」かも。優勝した加納虹輝が「(08年)北京大会の太田(雄貴)さんを見て」目指したように、次は加納を目標にする選手が出てくるかもしれない。

 体操、柔道、競泳、レスリングのメダル量産競技だけでなく、さらに日本の「お家芸」ができれば五輪はさらにおもしろくなる。今大会での選手の頑張りが新たな「お家芸」誕生の第一歩になる。

(荻島 弘一 / Hirokazu Ogishima)


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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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