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ドーピング陽性は「絶対やっていない」 世界一から転落…絶望も救いもくれた水泳に育てられたもの――競泳・古賀淳也

2009年ローマ世界水泳で金メダルを獲得した古賀さん【写真:Getty Images】
2009年ローマ世界水泳で金メダルを獲得した古賀さん【写真:Getty Images】

僕は水泳に対して嫌なヤツでありたくなかった

 過去の事案や判例を見たり、先生方の話を聞いたりしている中、「今、自分が一番したいことは何か」と考えました。声を荒らげた時、僕はまず「自分が全うな人間、全うなスポーツ選手であると全力で証明したい」と自覚したんです。

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 とにかく摂取ルートの特定が必要。ただ、コストと時間がかかる。足踏みが続いた結果、最初の締め切りでは明確なルートが出てこなかった。でも、僕はやっていないし、検査をやり直してでも証明したい。FINA(世界水泳連盟)の聴聞会のため、弁護士、通訳など4人でスイスに行きましたが、渡航費用や報酬は全て自腹です。競技ができていないし、貯めたものはほぼ全てなくなりました。

 仕事もないし、復帰できるかもわからない。復帰したところでサポートを受けられるのかもわからない。結局、原因はサプリメントに禁止物質が混入していたこと。ですが、故意の摂取ではないことが認められ、資格停止期間は2年になりました。

 次に向けてどう改善し、突き詰めていくか。その過程が楽しい。これは水泳に限りません。

 資格停止中に趣味で始めたアクセサリー作りでブラッシュアップしていく過程は、水泳が凄く生きました。やっぱり楽しい。これが水泳だったらもちろん最高ですが、一歩ずつ何かを進めていくことで気持ちもどんどん前向きになっていった。水泳でそういう生き方をしてきた自分が、それ以外のことでも同じように生きられるんだなと。凄く救われた部分です。

 水泳にこだわったのは、単純な話。勝敗に関係なく、やった分の跳ね返りがしっかりあるから。結果を自分で見直して改善できる。僕は水泳の知識と経験がたくさんあり、次以降のレースに積み重なっていくのが実感できた。だからこそ、水泳をしました。執着したというより、理解できる部分が多かったからです。

 それと、僕は水泳に対して嫌なヤツでありたくなかった。

 それは人に対しても同じ。競技を離れる前後でも、周りは僕の真剣な姿を見てくれていた。陽性になって、普通なら協力なんかしないはず。でも、「この人がそんなことをやるはずがない」「背中を押してあげよう」という方々もいました。現場に復帰した時、日本水泳連盟の方々は「待ってたよ!」と泣いて喜んでくださいました。

 それまでの水泳を通じた過ごし方、人との接し方が間違いじゃなかったんだなと。競技のアドバイスを送り合えたのもそう、合宿で仲良くなってご飯に行くのもそう。水泳が自分を成長させてくれたし、仲間との関わりを実感させてくれたものでした。

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