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ドーピング陽性は「絶対やっていない」 世界一から転落…絶望も救いもくれた水泳に育てられたもの――競泳・古賀淳也

スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、大のスポーツファンも、4年に一度だけスポーツを観る人も、五輪をもっと楽しみ、もっと学べる“見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値が社会に根付き、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。

古賀淳也さんが考える、水泳が人を育てるもの【写真:中戸川知世】
古賀淳也さんが考える、水泳が人を育てるもの【写真:中戸川知世】

「シン・オリンピックのミカタ」#32 連載「私のスポーツは人をどう育てるのか」第2回

 スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、大のスポーツファンも、4年に一度だけスポーツを観る人も、五輪をもっと楽しみ、もっと学べる“見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値が社会に根付き、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。

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 今回は連載「私のスポーツは人をどう育てるのか」。現役アスリートやOB・OG、指導者、学者などが登場し、少子化が進む中で求められるスポーツ普及を考え、それぞれ打ち込んできた競技が教育や人格形成にもたらすものを語る。第2回は2009年ローマ世界水泳の男子100メートル背泳ぎ金メダリスト・古賀淳也さん。身に覚えのないドーピング違反の通知を受けたが、37年の人生を通じて水泳に多くを救われた。(取材・文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)

 ◇ ◇ ◇

 僕は水泳によって何を育てられたのか。一つはレース結果に固執するのではなく、1回ずつ切り替えること。1番になれなかった時、いいレースができなかった時、「それはそれ」と切り替えを徹底してきました。次はどうするのか、これの繰り返しです。

 水泳での経験を、あの出来事にも上手に生かすことができたと思います。

 2018年4月に受けたドーピング違反の通知。あり得ない、絶対にやっていない。通知を受け止めきれず、パニックになりました。外に出ても見られているんじゃないかと思ってしまう。朝起きて、気づいたら夕方になっている。死がすぐ隣にあった。ベランダを飛び越えれば楽になるのかなって。ご飯も食べられず、絶食に近い状態。全く動けない状態が3週間ほど続き、10キロくらい痩せました。

 予定したアジア大会も確実に4連覇し、ベストタイムを出せると思うくらい調子がいい。東京五輪も100メートル背泳ぎで出場する強い決意がありました。悔しいし、先のことを諦めたくない。強く思っていたことです。

 起きてしまったことは変えられない。だから、水泳以外の問題にも「これはこれ」と受け止めた上で切り替えて、どう真摯に向かっていくのか。あの時は2、3週間かかってしまったけど、4年間の資格停止になることを前提に水泳を諦めたことで、「次に向けて全力で戦う」と切り替えられるようになりました。

 その後、弁護士の方々にも「本当はやったんじゃないの?」と詰められました。僕は感情的になり、「自分はドーピング違反を嫌悪して競技をやってきた。だから、絶対にそれはないです!」と声を荒らげました。机を叩きながら「馬鹿にしてんのか!」と怒るくらい。

 いま考えると、本心を聞きたかったのだと思います。本当にやっていない上で、何をどう証明したいのか、本気なのか。失礼な話ですが、そこから弁護士の先生たちも協力してくださいました。

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