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サッカーは「ミスが必ず起こるスポーツ」 味方のミスも自分の責任に…11人の競技だから育まれる資質――サッカー・熊谷紗希

スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、大のスポーツファンも、4年に一度だけスポーツを観る人も、五輪をもっと楽しみ、もっと学べる“見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値が社会に根付き、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。

熊谷紗希が考える「サッカーが人を育てること」とは【写真:荒川祐史】
熊谷紗希が考える「サッカーが人を育てること」とは【写真:荒川祐史】

「シン・オリンピックのミカタ」#17 連載「私のスポーツは人をどう育てるのか」第1回

 スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト「THE ANSWER」はパリ五輪期間中、「シン・オリンピックのミカタ」と題した特集を連日展開。これまでの五輪で好評だった「オリンピックのミカタ」をスケールアップさせ、大のスポーツファンも、4年に一度だけスポーツを観る人も、五輪をもっと楽しみ、もっと学べる“見方”をさまざまな角度から伝えていく。「社会の縮図」とも言われるスポーツの魅力や価値が社会に根付き、スポーツの未来がより明るくなることを願って――。

 今回は連載「私のスポーツは人をどう育てるのか」。現役アスリートやOB・OG、指導者、学者などが登場し、少子化が進む中で求められるスポーツ普及を考え、それぞれ打ち込んできた競技が教育や人格形成においてもたらすものを語る。第1回は今大会に出場しているサッカー日本女子代表(なでしこジャパン)主将・熊谷紗希。20歳で出場した2011年女子ワールドカップ(W杯)で優勝を経験し、日本の女子サッカーを長年牽引してきた33歳の考えとは。(取材・文=金 明昱)

 ◇ ◇ ◇

 日本で女子サッカーがまだ盛んではなかった1990年代、それも冬場は積雪などの影響もあって“サッカー不毛”の地と言われていた北海道で、熊谷紗希はこの競技と出会った。

「4つ上の兄がサッカーをやっていたので、両親が試合を観にいったら必然的に私も観にいかなきゃいけなくて。だから子供の頃から身近にサッカーがあったという感じで、兄を真似するところから始めました」

 学校の休み時間になれば、男子の中に混じって自然と校庭でボールを蹴った。本格的にサッカーを始めたのは小学3年の時だ。

「地元の少年団に入ったのですが、北海道には女子だけのチームがなくて、もちろん男子と一緒。それでもできないことができるようになる楽しさや嬉しさがあって、毎日が充実していた記憶があります。覚えているのは、リフティングが100回できたら表彰されるというので、それにどハマりしたんです(笑)」

 2、3か月で100回できたそうだが、「かなり練習したんですよ。学校から帰って家に着いたら、玄関にランドセルを置いてボールを持って出ていくような女の子でしたから。それに今もですけれど、すごく負けず嫌いでした」と笑う。

 “試合”とは「試し合い」と書く。言葉どおりに練習で培ったものを試す場所でもある。ただ、“試し合い”とは言っても、勝敗はつきもの。熊谷は「勝負へのこだわりが強かった」と振り返る。

「試合で負けたら悔しくて、帰ったあとに怒って、1人でボールを持って練習しにいくこともありました。もっと上手くなりたいし、勝ちたいというのは常にありました。負けるのはあまり好きじゃなかった」

 負けん気の強い性格がサッカーに向いていたと言い切っては少し強引だが、どのスポーツをする上でも上達するためには、強い向上心が必要となる。そういう意味で熊谷は、学生時代に最も忘れられないのは「一番怒られた」という高校時代だと振り返る。

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金 明昱

1977年生まれ。大阪府出身の在日コリアン3世。新聞社記者、編集プロダクションなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めた後、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。2011年からは女子プロゴルフの取材も開始し、日韓の女子ゴルファーと親交を深める。現在はサッカー、ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。著書に『イ・ボミ 愛される力~日本人にいちばん愛される女性ゴルファーの行動哲学(メソッド)~』(光文社)。

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