スポーツを地域連携と社会課題解決のツールに…「オール青山スポーツコミュニティ」が目指すこと
「ラグビーやスポーツをしていれば人間が育つ」という考えではない
宮崎「ラグビーを通して、子どもたちのリーダーシップを刺激したり、コミュニケーション能力を高めたりすることが目的だと聞きました。興味深い」
菊谷「引退後の2018年に、日本代表で一緒にプレーした箕内拓郎さん、小野澤宏時さんと、アイスホッケー日本代表での監督経験を持つ鈴木貴人さんの4人でブリングアップを立ち上げ、ラグビーアカデミーとアイスホッケーアカデミーの運営を始めました。僕たちは『ラグビーやスポーツをしていれば人間が育つ』という考えではなく、『人間が育つ過程でラグビーボールを使う』という考え方。ラグビーのチームトークを通して『主体的に学ぶこと』『仲間と一緒に活動すること』を身に付けてほしい。その思いに共感してくださったのはうれしいですね」
宮崎「これまで2回クリニックを開催していただきましたが、いかがでしたか?」
菊谷「アカデミーは入会した子どもたちを継続的に指導するわけですが、今回の青山学院大学ラグビークリニックは都度募集なので、どういう状況で子どもたちがやってくるか分からない。初回の中学生は15人が参加し、運動会を終えた後にやってきた子、一日中ラグビーの練習をしてから来たという子、朝からずっと塾でしたという子、本当に色々で『これは僕らの腕の見せ所が半端ないな』と(笑)。いきなり動いたら怪我をするので、まずは子どもたちの足ではなくボールを動かすメニューから始め、徐々に運動強度を上げる形をとりました。2回目も似た状況でしたが、僕たちにとって魅力がある、やり甲斐のあるチャレンジだと感じています」
宮崎「菊谷さんにお会いしたかったのか、ラグビーの得意そうなお父さん方がグラウンドの周りにたくさん集まっていたのが印象的でした」
菊谷「ラグビー部OBでもある保護者の方が多く、部活動にも積極的に関わっていると聞きましたが、青山学院大学ラグビークリニックではグラウンド外からの見学をお願いしました。『どういう意図を持って練習をプランしているのか』『練習の中で発言力や理解力を伸ばしながら、仲間・チームでの共同問題解決に繋げていきます』という狙いも説明させていただいて」
宮崎「なるほど。説明を聞いていたから、練習の様子をしっかり見ようとしていたんですね。グラウンドの横にはハンドボールコートがあるので、保護者用に使ってもらってもいいかもしれません」
菊谷「僕らは指導者研修もやるので、保護者も楽しく学べる場も作りたいと考えています」
宮崎「それは面白いですね。保護者の中にはコーチとして教えている人もいるでしょうし、職場でチームをまとめたり指導したりするポジションに就く方もいるでしょうし、そういう学びの場を欲している可能性はありますよね。選手としても指導者としても実績のある菊谷さんに教えてもらったら、言葉が沁みるんじゃないかな」