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18歳以下のスポーツは賭け禁止も… 米国とスポーツ賭博の実態、取り締まりが届かぬ「抜け道」が存在

若くからスポーツに賭ける行為に広がりも…

 また、若くからスポーツに賭ける行為も広がっている。アメリカで合法的な賭博が認められている州でも、18歳以下の子どもをターゲットにスポーツ賭博を広告・宣伝することはできない。子ども向けのテレビ番組でスポーツ賭博のコマーシャルは流れていないが、子どもも見ているだろうスポーツ中継では頻繁に流れるし、子どもの観客を取り込もうとしている球場、スタジアム、アリーナでも、スポーツ賭博の広告や看板は目立つところに掲示されている。これらの広告がどのくらい賭ける人の増加につながっているのかはわからないが、スポーツに賭けることの気持ちのハードルを低くする効果はあるだろう。それは、子どもにとっても同じように働いているのではないか。

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 多くの州では21歳未満は賭けることができないが、オンラインによるスポーツ賭博では親の名前や個人情報を使ってアカウントを偽造するなどして、21歳未満の青少年が違法な状態でスポーツ賭博を行っているケースがいくつも報告されている。

 ニューヨークポスト紙は、高校生による記事を募集し、5月に受賞者を発表した。最優秀賞記事は、高校におけるオンラインスポーツ賭博の実態と若年でスポーツ賭博を始めた人が将来的に依存症になるリスクを訴える内容だった。記事では、一部の高校生たちが日常的にスポーツ賭博していることや合法的に無料で遊べるスポーツ賭博のゲームのアプリがあることを伝え、保健の授業では、喫煙、飲酒のリスクを教えているが、ギャンブルのリスクについてはほとんど教えられていないとしている。

 タバコと比較してスポーツ賭博は広告の規制は緩く、未成年の子どもたちへリスクを伝えることも十分になされていないのが現状だといえるだろう。アメリカではタバコ業界と政府・州の規制、健康被害を訴える訴訟との長い歴史がある。オンラインの時代に合法化されたアメリカのスポーツ賭博の広告にも今後、何らかの規制がかかるかもしれない。

(谷口 輝世子 / Kiyoko Taniguchi)

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谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

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