自費で再来日、WBCチェコ代表右腕が語る東京での衝撃 まさかの謝罪で「日本式の礼儀に感動」
日本のファンに驚き「名前も知らない国を応援してくれるなんて…」
チェコ代表が日本で受け入れられた大きなきっかけが、日本戦でエスカラが佐々木から膝に死球を受けたことだった。「当たった瞬間は、ベンチにいた僕も固まりました。すげえことをやっちゃったと。幸いエスカラ選手は無事でしたが、数センチずれてたら今もプレーできてないんじゃないかと思います」。エスカラは打席で悶絶したものの、しばらくすると何事もなかったかのように立ち上がり、一塁へ向かった。
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スポーツマンシップあふれる場面に、スタンドからは大歓声。そしてメルガンスも驚いたのが2日後の休養日、ロッテのお菓子を手にした佐々木があやまりに来たことだった。「チェコにはない習慣です。わざとやったことではないですし。でも日本式の礼儀、親切さが現れたんじゃないでしょうか。佐々木選手の内面が良く分かったし、感動しました」。お菓子は選手で分けて、おいしく食べたという。
東京ドームを埋めたファンの行動も驚きでしかなかった。「名前も知らない国を応援してくれるなんて、可能なら1人1人と握手したいくらいだよ。チェコのために応援してくれて本当にうれしかった」。チェコ代表の選手や家族が、東京での日常をSNSで拡散し、日本人からの声援もどんどん増えていった。
今回の来日は、ロッテとチェコ野球の提携プログラムのロゴをデザインしたのが縁だ。そこに至る、すべてが始まったのがWBCだった。6月12日にはZOZOマリンスタジアムでDeNA戦を見た。「すごい声援で……。プレーより観客を見るのが楽しかったくらい。チェコだったらみんな帰っちゃうところでも、残って声援を送っていた。ロッテファンの忠誠心を感じました」。ここでも日本のファンには驚かされたという。
チェコ代表は、次回2026年に行われるWBCでは予選が免除される。前回大会では本戦での登板がなかったメルガンスも「雰囲気がいい」という東京ドームでの登板を目指している。「日本で練習すれば、スピードももっと出るだろうし、もっとうまくなると思うんだけどね」。野球がきっかけで、すっかり日本の虜となったメルガンス。またふらりとやってくることもありそうだ。
(THE ANSWER編集部・羽鳥 慶太 / Keita Hatori)