一番小さなプロ野球選手、滝澤夏央が超えたい「あまりにも大きな存在」 時間が経つほどわかる“怖さ”
西武の20歳、滝澤夏央内野手は身長164センチ。現在のプロ野球界で最も小柄な選手だ。今季は開幕こそ2軍スタートだったものの、5月に1軍昇格。攻守にスピード感あふれるプレーで奮闘している。シーズン中の監督交代を経るなど、苦しいシーズンを送るチームで、自分の役割をどう考えているのか。少年時代から憧れた源田壮亮内野手から感じることや、大きな夢を話してくれた。(取材・文=THE ANSWER編集部 羽鳥慶太)
身長2mの巨人・秋広と並んだ姿が話題に
西武の20歳、滝澤夏央内野手は身長164センチ。現在のプロ野球界で最も小柄な選手だ。今季は開幕こそ2軍スタートだったものの、5月に1軍昇格。攻守にスピード感あふれるプレーで奮闘している。シーズン中の監督交代を経るなど、苦しいシーズンを送るチームで、自分の役割をどう考えているのか。少年時代から憧れた源田壮亮内野手から感じることや、大きな夢を話してくれた。(取材・文=THE ANSWER編集部 羽鳥慶太)
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交流戦が行われていた6月上旬、1枚の写真がSNS上で話題となった。ベルーナドームでの巨人戦、出塁した滝澤が一塁塁上で、身長2メートルの秋広優人内野手と並んでいる場面だ。滝澤もこれは目にしたといい「できれば、並びたくなかったですよね」と口にする。
「目線が(秋広の)ベルトの位置でしたからね」
こう笑い飛ばせるのも、滝澤が自身の体格をハンデとは考えていないからだ。「この身長は長所です。大きい選手ばかりで、小さいのは……と思われるかもしれません。不利もあるかもしれませんが、魅力をアピールもできるんです」。
滝澤は2022年に育成ドラフト2位で西武へ入団し、初めての春季キャンプに臨んだ。当時18歳。並の高校生なら気圧される場面だが「意外と行けるんじゃないかと思えたんです。自信はありました」。プロに見てもらおうとどうアピールするか考え、ひたむきに伸ばし続けてきた守備は、このレベルでも劣っていないと思えた。
実際、その感覚は間違っていなかった。5月13日には早くも支配下登録され、同日の楽天戦に「2番・遊撃」で先発出場。初安打と初得点を記録した。育成ドラフトで指名された高卒新人が、デビュー戦で安打を放つのは史上初という快挙だった。日本代表の常連でもある名手・源田壮亮内野手の後継者が現れたという見方をされることもあるが、プロでの生活が長くなればなるほど、感じることがある。
「あの時は無我夢中でしたけど、今の方が源さん(源田)の後の守りづらさというか……。怖さを知りました」