大坂なおみは女子テニスの顔になれるか 「∞の可能性」に向くWTAファミリーの渇望
コンディショニングコーチが認めた“陸上の短距離選手並み”の能力
実力についても既にWTAを代表するレベルに達している「本物」と選手間で認められている。現在のランキングのツートップ、シモナ・ハレプ(ルーマニア)とアンゲリク・ケルバー(ドイツ)は、早い段階から大坂の潜在能力に気づき、全米オープンを優勝する遥か以前に将来性を謳っていた。
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大坂が憧れるセリーナ・ウィリアムズ(米国)を彷彿させる身体能力にも他は脱帽する。コンディショニングコーチのアブドル・シラーいわく、大坂の体力は通常のテニスプレーヤーの域を超え、陸上の短距離選手並みの瞬発力と爆発力を備えている。シラーはセリーナとWTAファイナルで大坂と対戦した世界ランク6位スローン・スティーブンス(米国)の元トレーナーである。
「テニスはもはや単に手や腕だけでプレーするスポーツではなくなっている。バスケ、アメフト、サッカーと同じように、コートやフィールドを猛スピードで駆け巡る。ナオミをトレーニングしている時は、スプリンターをトレーニングしているようにしている」とシラーは語る。
WTAは当然、大坂に大いなる期待を抱いていると同時に、慎重な姿勢も忘れていない。23個のグランドスラムタイトルを獲得しているセリーナも37歳になり、女子テニス界は例年になく実力が拮抗しており、抜けた選手がいない。元ランキング1位で現在17位のガルビネ・ムグルサ(スペイン)のように、実力はあるが人気が爆発し切らない選手もいれば、ウージニー・ブシャール(カナダ)のように人気が先行して伸び悩むタイプもいる。
このような状況で台頭した国境を跨ぐ人気と実力を持ち合わせた大坂はWTAに、17歳でウィンブルドンを優勝し、スケールの大きいプレーと美貌でテニスの枠を超えた世界的スターにまで上り詰めたシャラポワを彷彿とさせている。米経済誌「フォーブス」によると、大坂はいずれ世界で最も稼ぐ女子アスリートになると予想している。