プロテスト8度不合格でも諦めなかった29歳 石田可南子、遅咲きの苦労人として誓う「皆の希望に」
合格率3%の難関プロテストに29歳で合格「何度も心が折れて…」
言葉には実感がこもっていた。11歳でクラブを握り、ゴルフ部のある大阪学院大高に進んでプロを目指したが、テストは失敗の連続。トーナメント単年登録でプロになり、下部のステップ・アップ・ツアーには2017年に11試合、18年には16試合に出場した。だが、19年のツアー規定改定で単年登録制が廃止。プロテストに合格し、JLPGA会員にならなければツアーには原則出られなくなった。そして、石田は同年の最終プロテストで1打届かずの不合格となった。
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「最終ホールでバーディーなら合格でした。7、8メートルは残っていましたが、カップの右に外れた場面は今でも忘れられません。正直言って、その後にも何度も心か折れて諦めそうになりましたが、30歳まで続けてみようとは思っていました」
昨今、プロテストの受験者は600人を超えている。そして、1次、2次予選で振り落とされ、最終プロテストの20位タイまでしか合格できない。合格率は約3%の超難関。断念した仲間も数多いが、石田は29歳にして合格した。だからこそ、壁に阻まれ続けている挑戦者たちに向けて言った。
「今のプロテストに合格する人たちは、すぐに通用すると思います。そして、たくさんの試合が待っています。9度目で合格した私が結果を残すことは、諦めずに合格を目指しているみんなの希望にもなると思いますし、もっと頑張っていきたいです」
全選手がホールアウトし、石田は52位で決勝ラウンドに進出した。メルセデス・ランキングのポイントが高いメジャー大会ゆえに、残り2日で順位を上げていけば、リランキングで後半戦の出場獲得も視野に入ってくる。
「今年はステップ・アップ・ツアーにも出られますが、このままレギュラーツアーに出続けたいです」
ようやく手にした権利。石田は「20代最後の日」と重なる大会最終日を笑顔で終え、希望に満ちた30代を迎えるつもりだ。
(THE ANSWER編集部・柳田 通斉 / Michinari Yanagida)