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「由伸2世」涙なき引退 プロの夢叶わず、野球人生に「後悔はない」と言えた理由

一般就職で再出発を決意「道は変わるけど“頑張る”ということは変わらない」

 複数球団からテストに招待され、興味を示されながら、契約寸前で合意に至らなかった。ただ、気持ちが折れることなく、最後のチャンスで徳島の門を叩いた。月給10万円台。自炊しながら試合でアピールを続け、リーグ戦が終了した今月も宮崎フェニックスリーグに出場。NPB球団とも対戦し、野球人生最後になるかもしれない西武戦でホームランも打った。

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 慶応、慶大、JX-ENEOSというアマ球界のエリート街道を歩みながら「プロ野球選手になる」という目標を唯一にして最大の軸にして、もうこれ以上ないくらいに、最後の最後まで夢を追いかけた。だから「後悔はないです」と言い切れる。

「高校で初めて日本代表になって、大学、社会人でもなれた。慶応高校で春の県大会で優勝したことも、大学の早慶戦で勝って東京六大学で優勝したことも思い出はたくさんある。でも、これが自分の実力。現実を受け止めて、野球以外の場で活躍していきたい。お世話になっていった方々に一人ひとり、これからお礼をしていきたいです」

 初めてユニホームを買った選手は高橋由伸だった。そんな憧れの選手の名前がついた異名を背負い、時に大きな声援を受け、時に過剰なプレッシャーを負いながら、近くて遠いプロ野球選手の夢を追いかけてきた。「由伸2世」について今、思う。

「その名前で知り、自分を応援してくれたこともあれば、悪い時に必要以上に言われたこともあった。『自分がつけたんじゃないのにな…』って。重圧にもなったけど、でも重圧こそが成長につながる。だから、良かったり悪かったりがあったけど、『由伸2世』が僕を成長させてくれたんじゃないかと、今は思います」

「由伸2世」とともに歩んだ野球人生は、2018年10月25日をもって終わる。「今日、出た結果が自分が進むべき道。今日でそれがはっきりした。道は変わるけど、“頑張る”ということは新たな道でも変わりません」。最後まで、その声は明るかった。

 大卒3年目の25歳。今後は一般就職を目指す。「自分の中になりたい自分の像がある。それは野球選手じゃなくても変わらないので。まずは企業の情報収集ですかね」。プロ野球選手の夢の終わりは、新たな夢の始まり。「24」を背負い、神宮の杜を沸かせ、アマ野球界に唯一無二の足跡を残した谷田成吾は、バットを置いた。

 しかし、同時に、一つの人生の希望が芽吹いた。

(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)

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