五輪最終予選まで4か月、新監督を招聘したアイスホッケー男子代表の意図 46年ぶり悲願へ大きな決断
日本アイスホッケー連盟は9日、男子日本代表の新監督にカナダ出身のジャロッド・スカルディ氏が就任したと発表した。今月下旬には世界選手権、8月には2026年ミラノ・コルティナダンベッツォ五輪最終予選が控える中での異例のトップ交代。日本アイスホッケー連盟はどんな意図を持ってスカルディ氏を招聘したのか。
新監督にカナダ出身ジャロッド・スカルディ氏の就任を発表
日本アイスホッケー連盟は9日、男子日本代表の新監督にカナダ出身のジャロッド・スカルディ氏が就任したと発表した。今月下旬には世界選手権、8月には2026年ミラノ・コルティナダンベッツォ五輪最終予選が控える中での異例のトップ交代。日本アイスホッケー連盟はどんな意図を持ってスカルディ氏を招聘したのか。
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「五輪(出場)チャンスは目の前にある。100%チャレンジしたい」
都内で行われた記者会見に出席した鈴木貴人強化本部長は言葉に力を込めた。男子日本代表が五輪に出場したのは、1998年の長野五輪が最後。この時は開催国枠での出場だったため、自力となると1980年のレークプラシッド五輪まで遡る。46年ぶりの自力出場まであと一歩と迫ったところで、新代表監督招聘という形でもう一段階ギアを上げる決断をした。
女子日本代表は2014年のソチ五輪以来、2018年の平昌五輪、2022年の北京五輪と3大会連続で五輪出場を果たしている。連盟が打ち立てた女子代表の中期的目標は「五輪でのメダル獲得」。一方、男子代表の中期的目標は「世界選手権のトップデディビジョンに定着すること」、そして「五輪に出場すること」だ。
記者会見で藤木幸太会長は「ここ数年で男女ともに力がついてきた。やるべきことはやっている。時代が変化する中で一つずつ階段を上がっている」と、これまでに得た手応えを語っている。昨年11月から強化本部長となった元男子代表監督の鈴木氏も、3月31日をもって契約満了で退任したペリー・パーン前監督について「素晴らしい結果を出してくれた」と高く評価。その上で「五輪出場」という目標について「つかみとらなければいけないゴール」と強調した。
スカルディ氏は現役時代にNHLで9季プレーした他、スイスやスウェーデンなど欧州でも活躍。2007年から1シーズンは日本の王子製紙(現レッドイーグルス北海道)でプレーした。引退後は、NHLやU-18カナダ代表などでコーチを務めるなど経験は豊富。複数人の候補と面接したという鈴木強化本部長は「私が話をして、日本に一番フィットすると思いました」と明かす。スカルディ監督が王子製紙でプレーしていた当時、SEIBUプリンスラビッツに所属していた鈴木強化本部長と対戦した経験もあるそうだ。
男子代表は今後、今月28日にイタリアで開催される世界選手権に出場し、トップディビジョンへの残留に挑戦する。その後、8月29日からはデンマークが舞台となる五輪最終予選に出場し、デンマーク、ノルウェー、イギリスと総当たり戦を行い、1位になると五輪出場権を獲得できる。
悲願を叶えるために下した大きな決断。運命の時まで4か月と迫ったアイスホッケー男子日本代表の猛チャージに期待したい。
(THE ANSWER編集部・佐藤 直子 / Naoko Sato)