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「頑張っても無理と諦めかけていた」 31歳で初の五輪へ、柔道・角田夏実を変えた大学時代の分岐点

大学時代に今の自分の姿は「想像できていなかった」

 そういう意味では、自分に適した指導者や指導環境に出会えるかどうか、そういう進路を見出せるかどうかも大きいという。

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 そして、こう続ける。

「やっぱり柔道が好きだ、というのが一番ですね。まだやめたくないという思いとか、柔道を取ったら(自分に)何が残るんだろうというか、自分の生活の一部になっていた部分を大学の時に感じて、柔道がなくなったら寂しいな、どうにか続けられる方法を、と思って今までやってきました」

 大学時代を成長の糧とし今日へと至った角田に、あえて後悔しているところがあるかを尋ねた。

「大学生の時は、あまり上を見ていなかったというか、今の自分のようになるとは想像できていなかったのと、最初は意欲もそこまでではなかったんですね。そうじゃなかったら、もっと早くから、もっといろいろな取り組みができたんじゃないかなと思うことはあります。今のほうが練習量も増えているし、いろいろなトレーニング方法にも取り組んでいますから」

 そして、こう続ける。

「でも諦めずにやってきて、まずオリンピックに出るという夢が叶いました。そういうところを学生の人たちにちょっとでも分かってもらえたらなと思いますし、受賞された方々は、自分よりもっと未来があると思います。絶対に壁とか、そういうものに当たることはあると思うので、そういう時も諦めずに頑張ってほしいと思っています」

 角田にとって、初めての大舞台は刻々と近づいている。

「近づいてくるにつれ、これで大丈夫かなとか、練習は足りているのかなと不安になることもあります。でも、できる限りの準備をして悔いなく臨みたいですね。31歳で初めてのオリンピックというのはけっこう遅いと思いますが、諦めずにやってこられたからかなと思うので、支えてくれた人たちにしっかり恩返しできるように、オリンピックでいい結果を残したいなと思います」

(松原 孝臣 / Takaomi Matsubara)

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松原 孝臣

1967年生まれ。早稲田大学を卒業後、出版社勤務を経てフリーライターに。その後スポーツ総合誌「Number」の編集に10年携わり、再びフリーとなってノンフィクションなど幅広い分野で執筆している。スポーツでは主に五輪競技を中心に追い、夏季は2004年アテネ大会以降、冬季は2002年ソルトレークシティ大会から現地で取材。著書に『高齢者は社会資源だ』(ハリウコミュニケーションズ)、『フライングガールズ―高梨沙羅と女子ジャンプの挑戦―』(文藝春秋)、『メダリストに学ぶ前人未到の結果を出す力』(クロスメディア・パブリッシング)などがある。

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