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最初は驚いた「雪で日焼けするなんて」 雪上スポーツに必須、男性にも浸透したスキンケアの意識【パラアルペンスキー:本堂杏実】

本堂が競技する雪上スポーツは「保湿も大事」だ【写真提供:IN AGENT Inc.】
本堂が競技する雪上スポーツは「保湿も大事」だ【写真提供:IN AGENT Inc.】

日焼け止めを使用していなかった男性も意識変化「本堂が愛用しているものなら」

「提供してもらう日焼け止めをきちんと使うようになって塗り直しが大切なんだということも知りましたし、肌をもっと大切にしなくてはいけないと思うようになりました。海外の試合になると空気が乾燥して肌がカサカサになってしまうので保湿も大事。その後、コーセーのアスリート社員になってからはいろいろなスキンケア、メイクアップアイテムに触れ合うことが多くなり、知識が圧倒的に増えました。今ではこれがいいんじゃない、あれがいいんじゃないと周りにアドバイスできるようにもなりました。男性選手は日焼け止めを塗っていない人ばかりだったんですが、私が勧めたこともあって紫外線対策への意識も少しずつ広がっているかなと感じています」

 一人の女性アスリートとして肌に対する気配りは共感を呼んだ。ドーピング検査があるため、どんな成分が入っているかもアスリートには気になるところ。「本堂が愛用しているものなら」と男女問わず信用して使ってくれる競技仲間もいるという。彼女自身、SNSを含めて自身の使用する化粧品を積極的に発信するようになった。競技者のみならず、一般の雪上スポーツ好きにも参考にしてもらえればという彼女なりの思いがある。

 メイクは元々大好きなこと。日焼け止めやスキンケアへの関心もさることながら、ネイルや髪の色などにもこだわる。それがひいては競技に向かうパワーにつながっている。

 北京では5種目で入賞を果たしながらも、結果には満足できなかった。悔しさばかりがこみ上げた。

「振り返って思うのはやっぱりメダルに届くレベルにはなっていなかったということ。自分に厳しいようですけど、(悔しくて)泣く資格もなかったと今では思っています。このままであればメダルなんて無理。じゃあ何をしなければならないのかと言ったら、質の高い練習をやり続けるしかない。今は、健常者の選手たちと一緒に練習をして、基本的な部分を鍛え上げています」

 北京パラリンピック後はケガが続いたこともあって苦しい時間を過ごしてきた。それでも家族、コーチ、トレーナーといった周りの人に支えられつつも、逃げずに自分と向き合い続けたことでよりたくましくなった感がある。

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二宮 寿朗

1972年生まれ、愛媛県出身。日本大学法学部卒業後、スポーツニッポン新聞社に入社。2006年に退社後、「Number」編集部を経て独立した。サッカーをはじめ格闘技やボクシング、ラグビーなどを追い、インタビューでは取材対象者と信頼関係を築きながら内面に鋭く迫る。著書に『松田直樹を忘れない』(三栄書房)、『中村俊輔 サッカー覚書』(文藝春秋、共著)、『鉄人の思考法~1980年生まれ戦い続けるアスリート』(集英社)、『ベイスターズ再建録』(双葉社)などがある。

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