ロッテ悲願の勝率1位Vへ…吉井理人監督が見た佐々木朗希の成長と課題「今季中にどこまで行けるか」
佐々木がエースとなるのに必要なこと「あとは中6日で回復して…」
問題は回復力だ。軽々と球速160キロを超えるようにあまりに出力が大きく、ここまでは登板間隔をしっかり開けて回復を促してきた。吉井監督は「9回投げる力があるのもわかっている。あとは中6日で回復して、1年間投げられるかどうか」とわかりやすい課題を与え、こうも付け加える。「もし大リーグに行くとすれば、9月、10月に活躍できないと評価されない。大事な時にいないとなってしまう」。メッツ時代の1999年には、プレーオフでグレッグ・マダックス(当時ブレーブス)と投げ合った指揮官の言葉には重みがある。
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佐々木にとっては、日本を代表する投手となれるのか、試金石となる1年だ。吉井監督はダルビッシュ有(パドレス)も大谷翔平(ドジャース)も、プロ5年目を日本ハムの投手コーチとして見守った。当時の2人と比較するとすれば――。
「朗希は元々の質はものすごく高い。ダルビッシュや大谷よりもいい投手として入ってきているので。ただ体力は2人には全然かなわない。成長曲線を見れば少し緩やかかな。(日本ハム時代の)ダルビッシュなんて、こちらが思考停止して見ていても試合を作って、勝ってくれるくらいの安心感があったでしょう。ただ朗希は緩やかだけど、確実に上へ登っている。今季中にどこまで行けるか楽しみです」
開幕投手に指名した小島には、佐々木とはまた違った期待がかかる。「ここ数年、規定投球回数に達しているのがチームには彼しかいない。ローテーションは1年回してナンボなので、今年もそういう投手を中心に回していきますという意思表示ですね。ああいうタフな投手にならないといけないよ、と」。昨年12月には開幕マウンドを任せると決め、種市を含めた3人の並びまで決めていた。
「小島ー種市ー朗希の3人が活躍しないと優勝はない。当面は同じカードにこの3人をぶつけて戦っていきます。そうできるのは西野が次のカードの頭でしっかり投げてくれるのが大きいんですけどね。他はリリーフも含め、みんなで頑張ろうと。大げさじゃなく、2軍にいる選手も含めてみんなで戦おうとなりますね」
現在のロッテには発展途上にある投手が多く、勝ちながら育てることが必要になる。首脳陣としては大きなチャレンジだが「これは本当に難しいけど、可能だと思っています」と言い切る。「投手は敗戦処理で1軍に来ても、あまりプラスにならない。ビハインドでも1点2点、勝てるかなというプレッシャーのある中で投げないと、選手は成長していかない。タイミングが本当に難しい」という現状は、腕の見せ所でもある。