すし詰め状態の満員電車も「興味深かった」

「たしか来日して初めての週末だったと思うけど、大阪に行ってみたら偶然ラッシュアワーだったんだ。地下鉄でぎゅうぎゅう詰めになってね。『これが動画でみたやつか！』って感じだったよ（笑）。僕にとっては新しいクールな経験だった。僕はいつでも異なることを学ぼうと、異なる経験をしようとしている。だから、すし詰め状態でも、興味深かったんだ」

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　日本人なら憂鬱な環境すら前向きな経験。異文化に溶け込もうとここまで意欲的なのには理由がある。

「夢は日本で出来る限り長くプレーすること。それがNPBなら最高だね。離れたくない。ずっとここでプレーしたいと思っているんだ」。

　ひたむきで情熱的な日本の野球に感銘を受け、ここなら野球選手としてさらに成長できると実感。選手として骨を埋める覚悟を決めた。日本特有の長時間練習も「僕は素晴らしいと思う」と大歓迎だ。

　兵庫ではその強肩を評価され、本職の外野手に加え投手との“二刀流”にも挑戦する。身長193センチ、体重104キロ。パワーとスピードを兼ね備えるウィリアムソンにチームメートがつけた愛称は「トラック」だ。異国で得た熱い仲間と切磋琢磨し、夢に向かっていつまでもどこまでも走り続ける。

■ノア・ウイリアムソン / Noah Williamson

　2000年8月生まれの23歳。米国人の父とスイス人の母を持つ。米カリフォルニア州サンタバーバラ市立大などを経て、21年MLBドラフト19巡目でマーリンズに入団。昨年9月のWBSC欧州野球選手権ではスイス代表として6試合に出場し、打率.308、2本塁打、OPS1.011の好成績を残した。直後の10月に兵庫と契約を締結した。同12月に来日。193センチ、104キロ。右投右打。米国で生まれ育ったが、毎年夏はスイスに3か月ほど滞在したことから英語に加えてフランス語も身につけた。