「足が速くなりたい」東京の小中学生に特別授業 陸上元五輪スプリンターが伝えた“姿勢”の大切さ
スポーツを通して願う人としての成長
中学生組はイベントの終盤、ジョギングをしながらごみ拾いをする「プロギング」にも挑戦した。約20人ずつ3つの班に分かれて集めたごみの重量を競う対戦形式で、1つでも多く拾おうと目を光らせながら約40分、板橋の街を駆け巡った。優勝した班の拾ったごみの総量は13.6キロ。「思ったよりごみが多かった」と参加者たちが話すように、3班の合計は30キロを超えた。イベントを主催したワンリーリステッドの代表取締役・橋本一誓さんは「自分たちの地域をきれいにするのは心の掃除にもなる。こういったイベントをどんどん拡大して、皆さんに広めていきたい」と語った。
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また、キッチンカーで食事が無料提供されたのも本イベントの特徴の1つだ。走り方教室の終了後には3時間以上、頭と体を精一杯使った子供たちで長蛇の列ができた。伊藤氏も「例のない取り組み」と言うように、様々なメニューが盛り込まれたイベントは大盛況のうちに幕を閉じた。
スポーツで社会を豊かにすることを目指す「0.01 SPRINT PROJECT」で代表を務める伊藤氏。イベント中、参加者にたびたび伝えたのは、「大事なのはやるか、やらないか」ということだ。「まずは一生懸命継続してやってみる。また、ただやるだけではなくて考えながらやると成果が変わる。どこにポイントがあって、どんなことに気をつけたらいいか、そういう姿勢で物事に向き合ってほしい」と、スポーツを通した人としての成長を願った。
板橋区教育委員会の担当者も「笑顔がたくさん見られた」と振り返った、贅沢すぎる課外授業。子供たちは「足が速くなった」という成功体験をバッグに詰め込み、今にも走り出しそうな姿勢で家路についた。
(吉村 優 / Yu Yoshimura)