「大学辞めてよかった」 バスケ天皇杯Vを支えた22歳、千葉J小川麻斗の屈辱から這い上がった10か月
10か月で攻守に成長、富樫「期待しています」
居場所を得るため、スタイルを変えた。「得点できる人がいっぱいいる。守備ができないと出られない」。豊富な運動量で相手にくらいつき、今ではチーム公式サイトのプロフィールで「試合の流れを変える粘り強いディフェンスに、ぜひ注目いただきたい」と紹介されるほど。守備から少しずつ信頼を勝ち取った。
【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら
それでも、試合のたびにジョン・パトリックヘッドコーチ(HC)から檄が飛ぶ。「思い切ってアタックするとプレータイムも伸びる」。ノンシューター扱いされた悔しさを胸にシュート練習。「凄くシュートに自信を持ってプレーできている」。今年2月中旬、やっと手応えを感じた。3月10日には東アジアスーパーリーグで日本クラブ初の優勝も経験。富樫の後を追うようにプレー時間を伸ばした。
迎えた天皇杯決勝。自他ともに認める内容で48点差の圧勝に貢献した。指揮官は21歳のSF金近廉とともに名指し。「ベンチの役割じゃなく、本当にゴートゥーガイ(頼りになるやつ)になっていた」。主将の富樫も「負けたら終わりの中でプレーしたことはかなり大きな経験になる。さらにチームを助けてくれると思うので、期待しています」と信頼。先輩の言葉に小川から思わず笑みがこぼれた。
プロになって1年3か月。富樫や原修太など日本代表の先輩に叱咤激励を受けてきた。恵まれた環境で急成長を実感し、飛び出したのは正直な感想。「大学を辞めてよかったな」。会見場は笑いに包まれた。思い切ったからこそ得られた成長だ。東地区3位からBリーグファイナル優勝を見据える残りシーズン。挑戦心がさらなる成長を後押しする。
(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)