「カーネクスト 侍ジャパンシリーズ2024 日本vs欧州代表」

　6日から始まった「カーネクスト 侍ジャパンシリーズ2024 日本vs欧州代表」のために来日した欧州代表に、日本の野球を知るコーチがいる。イタリアとブラジルの二重国籍を持つルイス・カマルゴ三塁コーチは、1998年から2002年まで5年間、社会人野球・三菱重工広島でプレー。オーストリアの球団で監督を務める47歳が「THE ANSWER」の取材に応じた。インタビューを前後編でお届けする。後編では、帽子の裏に刻まれた「G.I.N.K」に込められた日本語の意味について。（取材・文＝THE ANSWER編集部・鉾久真大）

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「日本の野球が大好き。オーストリアで日本っぽい野球を教えています」

　22年ぶりの来日でもペラペラな日本語は健在。5日に京セラDで全体練習を行った欧州代表のカマルゴ三塁コーチは気さくな笑顔で取材に応じてくれた。「日本語はちょっと忘れているけど、I’ll try」。ときおり英語を交えながらも、ほとんど日本語での受け答えだ。

　単独取材の最中、ふと目に入ったのが帽子のつばの裏に記された「G.I.N.K」の文字だった。聞くと日本語の「我慢、勢い、流れ、感謝」の頭文字を取ったものだという。「これが私の信じていること。我慢して、勢いを出して、流れが来る。試合に勝って、感謝ね」。好きな日本語は「流れ」。異国で学んだ考え方を今も心に刻んでいる。

　ブラジルで生まれ育ったカマルゴ氏は、国内屈指のチーム「ニッポン・ブルージェイズ」でプレー。22歳だった1998年、現地に野球アカデミーを持つヤクルトのスカウトから声をかけられ、日本で練習に参加した。そこで三菱重工広島に気に入られて契約。それから5年間、右投げ左打ちの捕手として日本の社会人野球を活躍の舞台とした。

　5年間、日本でこなした練習は「しんどかったです。嫌いだった」と笑うが、今ならその目的が分かる。「質」を確保することを前提としつつ、無意識に体が動くようになるまで「量」をこなすことに意義はあった。

「正しい動きで量を重ねること。間違った動きでたくさんやっても意味はありません。悪い習慣を身に着けてしまいますから。まずは正しい動きを覚えてから、量をこなしていく。ここ日本ではたくさん練習しますよね。私はそれが好きなんです。動きについて考えることなく自動的に反応できるようになりますから」