箱根駅伝が放送されない沖縄で活況 離島の大学駅伝に東急&三菱地所ら著名企業が協賛するワケ
観光「閑散期」開催を歓迎 “2年目”で合宿チーム増加
小さな離島でのイベントにも関わらず、これだけの著名企業から賛同を得られる理由は2月という開催時期が大きな要因だ。曽禰さんが説明する。
【注目】育成とその先の未来へ 野球少年・少女、保護者や指導者が知りたい現場の今を発信、野球育成解決サイト「First Pitch」はこちら
「美しいビーチが強みの宮古島観光は、冬場の2月はどうしても需要が落ちます。ゴルフを目的に来島する方もいますが、ゴルフ場の数も限られているため、人数が多いという訳ではありません。大学駅伝という人気競技の開催で観光需要をつくることは閑散期対策になるため、多くの賛同を得ることができました」
昨年は参加大学が増えた一方で、合宿を兼ねて来島するチームは少数だったが、今年は参加した大学の半分以上が長期合宿を実施したという。参加選手からは「道が広いしアップダウンがあってトレーニングに最適」「関東だと冬は寒くて思うように体が動かない日も多いので、合宿をするのにはいい場所だと思います」と合宿地として高く評価する声が多かったため、来年以降もトレーニング地として利用するチームも多そうだ。
芝浦工業大のメンバーが宿泊したホテルを経営し、第4中継所で「芝浦工大 ファイト ガンバレ」と書いた応援ボードを手に声援を送った女性は「昨日夜なべしてボードを作りしました。頑張ってほしいです」と笑顔。観光の閑散期に大会を開催することについては「冬のこの時期はお客さんが少ないので、ぜひ続いてほしいです」と歓迎した。
一方、大会事務局は選手やスタッフなど関係者のみの来島を見込んでいるわけではない。大学駅伝の開催をフックに「その先」も見据えている。曽禰さんが言う。
「宮古島はトライアスロンやマラソンの大会が以前からあり『スポーツアイランド』を掲げていますが、その流れの中で『ランナーズパラダイス宮古島』として走ることを楽しめる島だということも伝えたいんです。ここでは2月でも半袖、短パン姿で、海の絶景を見ながら気持ち良く走ることができます。この時期に宮古島に来て、大学駅伝を応援し、さらに自分自身も走ることを楽しんで帰る、という新たな観光需要をつくりたいですね」
沖縄では県内各地でマラソン大会が開かれ、美しい海を望める風光明媚なコースが人気を呼び、県外からの出場者も多い。宮古島駅伝の認知度が上がり、中継などを通して「ミヤコブルー」を横目に走る選手たちの姿を見る人が増えれば、ジョガーやランナーを呼び込む可能性はあるかもしれない。