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桐生祥秀、織田記念で9秒台の期待大 専門家指摘、「風」と「宿敵欠場」が記録後押し

山縣の欠場が「桐生にとって大きい」…レースを左右する、両者の異なるタイプとは

 さらに、桐生にとって「追い風」となる要素もあるという。ライバルの欠場だ。桐生と並び、9秒台の期待がかけられていた山縣亮太(セイコーホールディングス)が右足首の故障により欠場を発表した。伊藤氏は「山縣君の欠場が桐生君にとって大きいのではないか」と指摘。その理由は、単なる勝ち負けだけにとどまらないとみている。

「選手にはそれぞれタイプがある。まず、山縣君についていえば、彼はどんな状況でも自分の走りができる選手です。誰と走ろうとあまり変わらない。国内でも強いし、五輪の舞台で予選、準決を走ってもあまりタイムが変わらない。これは素晴らしいこと。

 世界大会に出た日本人がレース後に『雰囲気にのまれた』『自分の走りができなかった』というコメントを聞くけど、彼にはほとんど関係ないと言って良い。仮に織田記念に桐生が出て、ケンブリッジが出て、サニブラウンが出ても、同じようなタイムで走れる、自分の走りに徹し貫けるタイプ。そこに競技場のいい条件が加われば、今の彼なら9秒台が出せる可能性はかなり高いとみていました」

 では、桐生はどういうタイプなのか。

「桐生君は高3で10秒01を出しているけど、当時の走り方とは今は変わっているように見える。発揮するパワーは上がっているように見受けられますが、接地の際の身体の乗り方が変わり、パワーが上に抜け気味で、全部の力が推進力になりきれていないように見えます。これがどう影響を及ぼすかというと、力めば力むほど、上体が起き上がってしまう。

 特に、短距離ランナーは誰かが視界に入って気にすると、接地の瞬間に力を入れて、うまく跳ね返って空中へ抜けていくという、走りのサイクルが崩れ始める。さらに頑張ろうとして、力を入れるタイミングがずれたり、力を入れる時間が長くなったりする。桐生君の場合、山縣君との対戦成績も分が悪く、影響を受ける部分があったと思います」

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