外せば「死ぬまで叩かれる」 李忠成の伝説ボレー弾、脳裏によぎる恐怖が消えた不思議な数秒間
アジアカップの1年後にイングランド移籍へ
李には独特の運命論がある。
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「人の運命は決まっていると思うんです。舞台を用意されれば、必ず本物は生き残る。逆にもし活躍できないなら、オレの人生はそこまでだったんだな、ということ。だからこそ、みんなには感謝でした。決勝戦まで勝ち上がり、僕のために舞台を整えてくれてありがとう、と」
アジアカップから1年後の2012年1月、李はイングランドのチャンピオンシップ(2部)で戦っていたサウサンプトンと契約する。現地の生活やレベルにも慣れ、順調にステップアップの手応えを感じ始めていた。
「毎日肌と肌でぶつかり合うことで、世界のトップレベルがどんなものなのかが分かった。献身的な守備はもちろん、オンだけではなくオフ・ザ・ボールの動きで、いかに相手に触れられずに受けるのか。身体の大きくない日本人選手がどこで勝負をしていけば良いのか。そういう整理がついて、これは行けるな、と実感していました」
だが3月末、試合中に右足人差し指を踏まれて骨折。ブランクが1年間にも及ぶ、痛恨の運命と遭遇してしまった。
(加部 究 / Kiwamu Kabe)