バスケ川崎の最も“難しい男”と即共鳴 移籍3度目の飯田遼、周囲を驚かせる「距離の縮め方」の極意
34歳ベテランの懐へ飛び込む姿に驚き
飯田の“コミュ力”の高さを象徴する、ある選手との関わりがある。
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川崎には長谷川技という34歳のフォワードがいる。寡黙でポーカーフェイスな長谷川は、川崎のベテラン陣の中でも群を抜いて“難しい”男。篠山やチームスタッフは口を揃えて「ハセが誰かと一緒に行動することはほとんどない」「ハセに積極的に絡みに行く後輩を見たことがない」と証言する。しかし飯田は、この難しい男の懐にガンガン飛び込んでいるというのだ。
「技さんとは代はかぶっていないけれど大学の先輩で、以前からプレーの考え方や取り組み方の見本になる人だと思っていました。川崎に入ることが決まって、元チームメートで技さんと大学同期だった上杉翔さん(現・レバンガ北海道アシスタントコーチ=AC)から『ハセはあんまり喋らないけど、実はこういう奴なんだよ』って聞いて、なおさらこの人から学びたいと思ったので、チームに入った時に仲良くなりたいなと思っていたんです」
川崎に転居してから間もない時期、飯田は上杉と長谷川、こちらも元チームメートで川崎でプレーした栗原貴宏(現・福島ファイヤーボンズAC)と食事に出かけた。飯田が長谷川を誘って一緒に待ち合わせ場所へ向かうと、2人に「ハセが後輩と行動するなんて珍しい」と驚かれたという。
皆が呼ぶ「ハセ」でなく「技さん」と呼ぶことにしたのも、特別な間柄を築きたかったから。そう呼んでいいかと飯田が尋ねた時、長谷川は「そんなふうに呼ぶ人いないよ?」と驚きながらも、どこか嬉しそうな様子だったようだ。
「チームに入ってトレーニングの時に誰と組むかみたいな話になった時にも、『僕は技さんがいいです』って言った気がします。技さんはトレーニング後にバイクを漕いで上がるんですけど、その後『ちょっとシューティングやりませんか?』って誘って、付き合ってもらうことも自然と増えてきました。皆さん、技さんは無口だって言いますけど、僕の中では別にそんなイメージはないんですよね」
川崎というチームをよく知る人であればあるほど驚くエピソードを、なんてことのないように披露しながら飯田は続けた。
「僕は人見知りをしないタイプなので、嫌な人からしたらけっこう嫌な距離の縮め方をすると思うんです。でもそうでもしないと、人との距離って縮まらないじゃないですか。もちろん相手からシャットアウトされたら、それ以上はやらないですけど、技さんにはそういうのがまったくなかったので」