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野球に求められる五輪生き残りへの変革 課題はマラソンより長い試合時間、「5人制野球」に活路か

復活するクリケットも競技システムを大幅に変更

 クリケットも「途中でティータイムがある」ほど試合時間が長く、五輪での実施は不可能だと思われてきた。1900年パリ大会の時も1試合が2日がかりだった。大きな変革は2003年に英国で始まったT20という試合形式。試合時間は2時間半程度になった。

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 長い間、五輪には消極的だった国際クリケット評議会(ICC)は、21年に五輪入りを目指すことを表明。大幅に短縮された試合時間と競技人口3億人、ファン25憶人という世界的な広がりを武器に追加競技入りした。

 大きく形を変えながら五輪に復活した他の団体競技に対し、野球は公開競技として行われていた100年前から基本的に同じ。28年大会のルールは発表されていないが、7イニング制が採用されても9人制は変わらないだろう。

 IOCには五輪競技になるための暗黙の了解があるように思えてならない。団体競技の人数はサッカーやホッケーの11人まで、時間は長くてもマラソン以下。それよりも多人数で長時間かかる競技は五輪で生き残れない。

 野球は9人制だが、多くのベンチ入りメンバーが必要。過去の五輪では登録メンバーは24人だった。11人制のホッケーは16人、サッカーも新型コロナの影響で特例として東京大会は22人だったが、基本は18人が登録される。同じ9人制のソフトボールも15人。負担が大きい投手が多く必要とはいえ、野球だけがとびぬけて人数が多い。

 試合時間も東京五輪の日本代表戦はいずれも3時間超。4時間近い試合もあった。テレビ放送の問題などでパリ大会で除外される陸上の50キロ競歩と同程度。世界野球ソフトボール連盟(WBSC)は7イニング制やピッチクロック導入などで時間短縮をはかっているものの、マラソンより短時間にするのは難しい。

 15人制のラグビーは7人制で五輪入り。8時間を超す競技だったトライアスロンは五輪のために大幅に距離を短縮し、レース時間を2時間強にした。多くの競技が、変革している。何よりも、IOC委員は「五輪のために僕たち変わりました」という姿勢が好物。五輪競技として安泰な一部の競技を除けば、変革こそが定着するカギになる。

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荻島 弘一

1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者としてサッカーや水泳、柔道など五輪競技を担当。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰する。山下・斉藤時代の柔道から五輪新競技のブレイキンまで、昭和、平成、令和と長年に渡って幅広くスポーツの現場を取材した。

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