オリンピックの追加競技の歴史と深層 復活する野球、現状なら28年ロス五輪で完全に終わる可能性
28年ロサンゼルス五輪の追加競技に野球・ソフトボールが決まった。野球と五輪の付き合いは意外と古く、100年以上前の1912年ストックホルム大会から。公開競技、正式競技昇格と除外を経て、今回は追加競技として復活した。追加競技とは? 大谷翔平は参加するの? 将来的に野球は五輪で見られるの? 野球と五輪の不思議な関係から考える。全3回の第1回は五輪における公開競技と追加競技制度の歴史を振り返る。(文=荻島 弘一)
「野球と五輪の不思議な関係」第1回 公開競技と追加競技制度の歴史
28年ロサンゼルス五輪の追加競技に野球・ソフトボールが決まった。野球と五輪の付き合いは意外と古く、100年以上前の1912年ストックホルム大会から。公開競技、正式競技昇格と除外を経て、今回は追加競技として復活した。追加競技とは? 大谷翔平は参加するの? 将来的に野球は五輪で見られるの? 野球と五輪の不思議な関係から考える。全3回の第1回は五輪における公開競技と追加競技制度の歴史を振り返る。(文=荻島 弘一)
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侍ジャパンが金メダルに輝いたのは2年前の東京五輪だが、実は1964年の東京大会でも野球は公開競技として行われている。陸上や水泳など正式競技とは別に大会の盛り上げと新たな競技の世界への発信を目的に実施されたのが公開競技だった。
武道(剣道、弓道、相撲)とともに行われた野球には、米国から大学選抜が来日。全日本学生選抜、同社会人選抜と2試合が行われた。順位は付けず、選手には参加記念メダルだけ。それでも、五輪野球見たさからか3万人が神宮球場に詰めかけたという。
野球と五輪の出会いは、さらに古い。1912年ストックホルム大会で公開競技として五輪デビュー。24年、36年、56年大会でも公開競技として行われた。64年の後は少しあき、84年のロスで公開競技として復活。88年ソウル大会を経て92年バルセロナ大会で正式競技に昇格すると、2008年北京大会を最後に除外されるまで実施されてきた。
過去夏季五輪は29回行われているが、野球は公開競技として7回、正式競技として5回、追加競技として1回の計13回行われている。52年ヘルシンキ大会で行われたペサパッロ(フィンランド式野球)と1904年セントルイス大会の非公式の実施を含めれば半分以上の15回。野球と五輪は100年以上、離合を繰り返す不思議な関係を続けてきた。
野球と五輪を結び付けていたのは、かつての「公開競技」という制度だ。64年東京大会までは「競技の紹介」が主だったが、68年メキシコシティー大会からは競技会として各国の代表が参加。国別メダル数にこそ含まれないが金、銀、銅メダルが授与された。