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誤審で「目立つのは当たり前」 仙台六大学野球の審判部長・坂本健太が批判覚悟で球場に立つ理由

野球というスポーツにおいて、試合を司る審判は必要不可欠な存在。その審判がスポットライトを浴びる機会は少なく、注目されるのは批判にさらされる時がほとんどだ。「誤審疑惑」はプロ、アマチュアを問わず後を絶たない。SNS上ではたびたび、誤審を巡る議論や誹謗中傷が飛び交う。審判歴が10年を超える仙台六大学野球連盟付属審判部長の坂本健太さん(37歳)は、この現状について「それでいいんじゃないですか」と持論を展開する。その言葉の真意とは――。(取材・文=川浪 康太郎)

仙台六大学野球で審判部長を務める坂本健太さん。責任感を持って日々野球と向き合っている【写真:川浪康太郎】
仙台六大学野球で審判部長を務める坂本健太さん。責任感を持って日々野球と向き合っている【写真:川浪康太郎】

「大学野球審判の実像」第1回、判定の重みと批判との向き合い方

 野球というスポーツにおいて、試合を司る審判は必要不可欠な存在。その審判がスポットライトを浴びる機会は少なく、注目されるのは批判にさらされる時がほとんどだ。「誤審疑惑」はプロ、アマチュアを問わず後を絶たない。SNS上ではたびたび、誤審を巡る議論や誹謗中傷が飛び交う。審判歴が10年を超える仙台六大学野球連盟付属審判部長の坂本健太さん(37歳)は、この現状について「それでいいんじゃないですか」と持論を展開する。その言葉の真意とは――。(取材・文=川浪 康太郎)

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「常に『空気』でいるのが審判なので、やらかした時に目立つのは当たり前。本来、目立ってはいけない存在なんです」

 もちろん誤審がないに越したことはないが、審判も人間。心の中で「やべー、やっちゃった」とつぶやく瞬間は、審判歴の長い審判ほど経験しているという。それでも、坂本には「目立ってはいけない」との自覚があるからこそ、SNS上での批判についても「仕方ないことだし、止める理由もない」と割り切っている。

 とはいえ、審判の難しさも十分すぎるほど理解している。坂本自身、東北工業大で投手としてプレーしていた頃は「もっとちゃんと見てくれよ」「今日はストライクゾーンが狭い球審か」などと不満を感じることも少なくなかったが、自らジャッジをするようになってからはその奥深さを思い知ることとなった。

 最も議論となりやすいのはアウト、セーフの判定。審判講習会では、「ビュー・トレーニング」と呼ばれるメニューが設けられており、アウト判定のケースとして最も頻度の高い一塁フォースプレーの判定をひたすら反復練習する。「きれいなアウトだけでなく、一塁手がボールを落としたり、ベースを離れたり、いろいろなことが起こる」。どんな状況でも瞬時にアウト、セーフを判断し、コールできるよう、審判は各自の時間も使いながら感覚を磨いている。

 球審にとってはストライク、ボールの判定が肝になる。ストライクゾーンは「公認野球規則」で明確に定義されているものの、若干の個人差は出る。「多少ずれていても思わず手が上がってしまう」のも人の性。多くの審判は「ストライクを逃さない」をテーマに、懸命に一球一球を見極めている。

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