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結婚・出産→育休中に25歳で出会った競技で金メダル 東京パラバドミントン複女王・山崎悠麻の転機

山崎は世界一になっても「もう一度、あの場所に立ちたい」とパリパラリンピックを目指す【写真:日本パラバドミントン連盟提供】
山崎は世界一になっても「もう一度、あの場所に立ちたい」とパリパラリンピックを目指す【写真:日本パラバドミントン連盟提供】

目標は2024年パリパラリンピック「もう一度、あの場所に立ちたい」

 さらに2019年8月、里見が世界選手権シングルスで初めて金メダルを決めると、山崎は「世界で勝てる」自信を一層、深めた。

「優勝を期に、里見は試合中も自信をもって発言するようになりました。それまでもコミュニケーションはうまくとれていたと思いますが、私に対する遠慮が一切なくなると、ダブルスとして一層、機能するようになったんです。

 もちろん、パラリンピックに向けたレースが始まると、お互いちょっとピリピリしちゃったり、喧嘩して泣いたりするときもあります。でも、そういう状況下でも、お互いの意見をしっかり話し合えるようになりました」

 今年の5月、タイ国際大会、バーレーン国際大会で、山崎はシングルス、ダブルスともに、数年ぶりに中国の選手と対戦した。バーレーンではグループリーグ初戦、準々決勝で、世界を目指すきっかけとなったLiu Yutongと対決。しかし、2戦とも圧倒的大差をつけられ、ストレート負けを喫した。

「中国は層が厚い。バーレーンではシングルスで中国の3番手の選手にも負けてしまいました。ダブルスではタイ、バーレーンでYutongたちと3回あたり、1勝2敗です。

 中国はパリでもライバルになります。これまで情報がゼロでしたが、映像が撮れたので、やっと、具体的に課題を抽出し、練習ができるところに来た。相手の状態や自分の現状もわかったので、よかったと思います」

 パリ大会に向かうモチベーションは何か? その問いに「東京で金メダルを獲れてすごく嬉しかったこと」と目を細めて答える。「私自身は金メダルが獲れるほど強くありません。でも、まだ現役を続けられるなら、また里見とダブルスを戦いたい、もう一度、あの場所に立ちたいと、ちょっと欲が出ました(笑)」

 パリ2024の出場権は、指定の国際試合で獲得したポイントランキングで上位に入ることが条件だ。ポイントレースを戦う山崎は現在、女子シングルス(WH2)で3位、女子ダブルス(WH1-WH2)で2位(2023年9月時点)。日本のエースとして再び、世界の頂きを目指して、ひた走る。

■山崎 悠麻(やまざき ゆま)

 1988年4月8日生まれ。東京都出身。小学2年生から中学卒業時までバドミントンをプレー。高校1年の時に交通事故で脊髄を損傷し、車いす生活となる。2013年に全国障害者スポーツ大会でパラバドミントンを観戦し、当時の強化指定選手に誘われて趣味として始める。出産のため一時競技から離れたが、2014年に復帰。同年12月の日本障がい者バドミントン選手権大会で準優勝、2015年のパラバドミントン世界選手権でベスト8となり、本格的に競技に取り組むことに。2017年に調布市役所を退職し、NTT都市開発に移籍。2018年アジアパラ競技大会では里見紗李奈選手(NTT都市開発)と初めて臨んだダブルスで銅メダルを獲得した。2021年東京パラリンピックではパラバドミントン女子シングルス (WH2)で銅メダル、女子ダブルス(WH1-WH2)で金メダルを獲得。世界ランキングは女子ダブルス1位。シングルス2位(2023年9月時点)。

(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)

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長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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