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消防士をしながら部活指導者を両立 米国のレスリング名コーチに聞く「外部コーチ業」の裏側

外部のコーチのメリット・デメリットとは

――外部のコーチのメリット・デメリットは?

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「レスリングは最も人気のあるスポーツではないので、多くのレスリング部では部員の募集を気にかけています。学校の教員をしながらコーチをしていたら、子どもたちとは学校で毎日、顔を合わせして話をし、あなたのことをわかってもらうことができ、部員を募集しやすいでしょう。私は21年間コーチをしていて、地域の人にもよく知られており、我々の活動への良い評価もあるので、新しく外からやってきたコーチよりはこういったことが容易だと思いますが。私たちがやらなければいけなかったのは、生徒、保護者への働きかけ、教職員と関係を作って活用することでした。

 消防士という仕事はチームワークで成り立っています。生死をかけた仕事と学校の運動部の活動を同じレベルで比較するつもりはありませんが、コーチとして運動部のチームワークに基づくカルチャーを作っていくうえで、本当に役に立ったと思います。また、私のアシスタントコーチも教員ではなく、朝の9時から夕方5時までは別の仕事をしています。ですからレスリング部の練習は午後6時から午後8時までです。生徒の帰宅時間が遅くなるというデメリットはありますが、練習前の疲れていない状態で宿題などの学業に集中することができます。こういった状況は時間管理のできる生徒には有利ですが、未熟な生徒には難しいことでもあります」

――オフシーズンにも練習をしているのか。

「私は、シーズン中には全員に同じレベルでの参加を課していますが、部員たちがレスリング部に同じレベルで関わっているわけでないことも理解しています。オフシーズンは他のスポーツをする生徒もいますし、運動部以外の他の活動をする生徒もいるでしょう。オフシーズンには生徒たちに(練習の)機会を提供していますが、参加するように強制はしません。ただし、生徒たちがモチベーションを高め、オフのワークワウトをしたいと思えるようにできる限りのことはしています。シーズン終了時には個人面談をし、来年の目標について話をします。生徒たちがこれからの8か月間、現状と来年の目標のギャップを埋めるために何をすればよいのかを自ら考えられるようにしています」

――外部コーチの指導者報酬は?

「私のコーチとしてのサラリーは、教員組合が交渉したもので、その労使契約に基づいています。私は教員ではないので、私自身は教員組合の一員ではありません。ニューヨーク州内の多くの(学区の)基準だと思いますが、コーチも指導年数が高くなると、報酬も上がっていきます。レスリングのコーチのサラリーは、バスケットボール部やゴルフ部のコーチよりもやや高いのですが、これは運動部指導に関与する時間の長さに基づいて算出されているからだと思います」

(谷口 輝世子 / Kiyoko Taniguchi)

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谷口 輝世子

デイリースポーツ紙で日本のプロ野球を担当。98年から米国に拠点を移しメジャーリーグを担当。2001年からフリーランスのスポーツライターに。現地に住んでいるからこそ見えてくる米国のプロスポーツ、学生スポーツ、子どものスポーツ事情を深く取材。近著に『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのか――米国発スポーツ・ペアレンティングのすすめ』(生活書院)ほか、『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)『子どもがひとりで遊べない国、アメリカ』(生活書院)。分担執筆『21世紀スポーツ大事典』(大修館書店)分担執筆『運動部活動の理論と実践』(大修館書店)。

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